今年も「島キャン」

コーラルパームスで就業体験する行本さんと久保さん

都会の学生が就業体験
離島で将来の自分探し 働き方「見つけたい」

離島で就業を体験する大学生の島おこしインターシップ・2023「夏の島キャン」が今月から全国の離島各地で始まっている。奄美大島では現在、都会の学生6人が来島し、島の企業が受け入れている。学生たちは将来の働き方を意識しながら新しい自分を探しており、「毎日が充実している。自分が何をやりたいのかしっかりと見つけたい」と汗を流している。

東京に本社を置くカケハシスカイソリューションズが主催。離島の地域活性化を目的に2014年に始まり、これまでに1200人を超える学生たちと島をつないでいる。

今年は奄美群島のほか、新上五島町(長崎県)、隠岐の島(島根県)などで実施。8月から9月までの計4クールで約50人の就業を計画。学生たちは島をキャンパスに見立て、都会ではできない働き方や暮らしを体験する。

奄美市笠利町のリゾートホテル「コーラルパームス」では、千葉県から来た東洋大学社会学部2年の行本梨奈さん(20)と大妻女子大学家政学部2年の久保千尋さん(20)の2人が14日に来島。日程は28日までで、ホテル内のレストランで朝と夜、ホールや厨房、配膳などの仕事を手伝っている。

「仕事は大変だけど、外でも人がすぐに話し掛けてくれるなど温かい島。自分の考えが持てるように学びたい」と行本さん。管理栄養士の国家試験が控える久保さんは「試験は夢ではなく通過点。人とのコミュニケーションを取りながら、自分ができることは何かを探してみたい」と仕事にいそしむ。休日には2人で島巡りも楽しんでいる。「想像以上に自然がきれい。夕日を見たり、海水浴も楽しんでみたい」と充実した日々を送っている。

村山博和支配人は「バイト経験もあり即戦力。愛嬌(あいきょう)もあり刺激になっている」と上機嫌。「仕事がきつかったではなく、奄美はよかったと思い帰ってもらいたい」と話す。

事務局によると、奄美大島には9月末までに計12人の派遣を予定している。担当者は「仕事をするだけでなく、大学生活にはない体験が目的。島にある特徴的な文化や歴史、暮らしに触れながら多様性を育んでもらいたい」と話している。