日本シンクロの母・井村氏 伊仙町で講演

伊仙町で講演し示唆を与えた〝日本シンクロの母〟井村雅代氏=26日、同町ほーらい館

 

 

「成功は忘れ、悔しさと後悔で次へ」
日々1ミリの努力大事

 

 【徳之島】伊仙町の「いせん寺子屋特別講演」が26日、同町ほーらい館であった。「日本のシンクロ界の母」と称されるアーティスティックスイミング(AS)ソロ日本代表コーチの井村雅代氏と、島津製作所環境経営統括室長の横田明善氏が講演。井村氏は、多くの日本代表を育て五輪や世界選手権などメダルに導いた栄光にも「成功は忘れる。悔しさと後悔で次の進歩に」と指導者魂も紹介した。

 同特別講演会は町が主催、道頓堀たこ八・島津製作所・㈱サンエリア協賛の〝産官連携イベント〟。幅広い世代の観客約250人が来場。井村氏(73)は、今は亡き友人が大好きだった同島への縁で演題は「徳之島に夢を」。自然環境専門家の横田氏(56)は青少年層を意識して「島津製作所がお届けする生物多様性のおはなし~地球環境を守るために、私たちにできること~」と題し話した。

 井村氏は、1978年から日本代表コーチを務め、AS日本代表を五輪に10大会連続で導き多くのメダリスト(中国選手含む)を育てた。講演は、その指導の歩みを交え、徳之島の未来を担う子どもたちや子育て世代たちも意識した内容に。

 意外にも「五輪とともに37年、心の中での成功は1度もなかった。毎回、後悔と悔しさしかなく、それが次の選手育成につながった」と断言。「何かをするとき〝才能がある・ない〟〝才能が無かったらダメ〟とかいうが、五輪選手らは決して才能の塊ではない。五輪に出たい出たいと努力する人たちの集まり。人生もいくつになっても、やりたいことにも出会える」とも。

 また、「金メダルを獲ると『心・技・体がそろった』とか言うが、三つそろえるのは疲れる。足りないものは補う。大きな目標だけではなく、日々の目標も持って努力し、1ミリでも補うと限界を超えられる」。そして「成功したことは忘れて、一歩ずつ前に行くと、さらにその先が見えてくる」とも強調した。

 先月19日福岡市であった水泳世界選手権のAS女子ソロ2種目で金メダルに輝いた愛弟子・乾友紀子選手との模様の動画も紹介した。

 講演の先陣を切った横田氏は、生物多様性の重要性や一部生物の絶滅理由(天災、開発、公害、温暖化、密猟・乱獲、外来種、海洋汚染)。科学技術でできることと限界。私たち(住民)にできること①自然を大切に②3R(リユース・リデュース・リサイクル)③ペットなど動物を責任をもって育てる④温暖化対策を心がける⑤情報を見て聞いて情報を共有、できることを一緒に考えて行動する―ことも強調した。

 井村氏の著書「井村雅代コーチの結果を出す力~あと『1ミリの努力』で限界を超える」などの抽選会もあった。