植栽されているソテツの外来カイガラムシ被害がほとんどの葉に及んでいた小宿中央公園(上)。被害葉の切除が行われ、幹だけとなった
奄美市名瀬の市街地などにある公園で緑化用に植栽されたソテツに外来カイガラムシ(アウラカスピス・ヤスマツイ=英語表記の通称CAS〈キャス〉)が付着、再び葉が黄色くなり枯れるなどの被害が出ている。公園内のソテツほとんどが被害に遭うなど深刻化する箇所もあった中、管理する市は葉の切除を行うなど対策を進めている。
市都市整備課によると、24、25日に被害葉の切除を行ったのは、和光第一公園、佐大熊の緑地公園、輪内公園、小宿中央公園など。作業にあたったのは同課職員で、「事前に予算化されていない突発的な事態のため、職員が手分けして取り組んだ」(同課)。あかさき公園とおがみ山公園は指定管理者となっている市開発公社にお願いするという。
被害の状況から同課には「ソテツが枯れている」などの情報が市民から寄せられていた。特に目立ったのが小宿中央公園。帆船の形の遊具などもあり家族連れの利用が見られるが、公園出入り口周辺などに植栽された10株ほどのソテツの葉ほとんどが黄色く枯れた状態に。「まるでソテツの墓場のようで、ひどい状態。せっかくの公園の環境・景観が台無し。管理者は放置せずに対策を進めてほしい」との声が利用者から出ていた。職員の作業により被害葉は切除され、葉も回収済み。被害の状況を示すように一帯のソテツは葉がなくなり、幹だけとなっている。同課では今後薬剤散布も行う。
市民からは「市が率先して『ソテツを守る』という姿勢を示してほしい。それによって民間の関心も高まる。市民の情報に基づいて対応するのではなく、ソテツの成長具合、季節に合わせた対策を施し見守っていかないと台湾やグアムのように全滅してしまう。CASによる被害拡大のスピードがとても速く感じるだけに、被害が出ても放置せず、守るという姿勢を市には今後も期待したい」との声がある。
一般社団法人日本ソテツ研究会の髙梨裕行会長は「(小宿中央公園の被害状況から)葉を切ってまた新しい葉が出たとして、薬剤散布を併用したとしても、さらに他の株に被害が広がるのは避けられないのではないか。蔓延(まんえん)防止のため、完全伐採・撤去など専門家の意見を求め対策に反映してほしい」と指摘する。