龍郷町・自然観察の森にオオトラツグミ

木漏れ日を浴び美しい姿を見せたオオトラツグミ(16日=龍郷町・自然観察の森)

春生まれの幼鳥か

奄美大島の固有種で国指定天然記念物の野鳥オオトラツグミが8月中旬、龍郷町の奄美自然観察の森に姿を見せた。園内の「昆虫の森」エリアの遊歩道付近の地面から近くの木の枝に飛び乗ると、何かを見つめじっと動かない。

人影がなかったせいか、周りを警戒するような様子もなく、少し首を動かす程度で5分近くも目を楽しませてくれた。

NPO法人奄美野鳥の会の高(たかし)美喜男さんは、「今年4月に同地で繁殖し生まれた雛(ひな)ではないか。子育て中の親鳥がエサをくわえて飛んでいるのを複数のグループが目撃している」と話した。20年前には見られなかったといい、北部に繁殖域を広げている可能性があるという。

同会発行の「奄美の野鳥図鑑」によると、オオトラツグミは奄美大島の深い常葉広葉樹林にのみ生息、奄美の固有種の中で最も生息数が少ない種。同会では毎年3月に生息調査を行っているが、今年の調査では86羽確認。前年の108羽より22羽少なかった。

観察の森に姿を見せたオオトラツムギからは、「キョロロンキョロロンチィー」という美しいさえずりを聴くことはできなかった。