「奄美・徳之島の夜はスロードライブ」

交通事故死が増えているアマミノクロウサギ

9月1日からクロウサギ交通事故防止キャンペーン
9月以降の4か月間で全体の4割

 例年、9月以降の秋期にかけて国の特別天然記念物アマミノクロウサギの活動が活発になり交通事故がより多く発生する。地域住民、観光客などに安全運転を呼び掛けようと環境省沖縄奄美自然環境事務所奄美群島国立公園管理事務所、同徳之島管理官事務所は9月1日から年内(12月31日まで)、交通事故防止キャンペーンに乗り出す。今年のキャッチコピーは「奄美・徳之島の夜はスロードライブ」。

 同省によると、2022年(1~12月)のクロウサギ交通事故件数(全て死亡)は奄美大島105件、徳之島40件の計145件で過去最多を更新。今年の状況(速報値)は1月から7月末日までで奄美大島85件、徳之島18件の交通事故死が発生している。

 今年も過去最多の昨年同時期を上回るペースで発生。同省は今年の事故の特徴として、これまでは事故が比較的少なかった場所でも発生を挙げ、「クロウサギを普段見かけない場所でも油断せずに、夜間は安全運転をお願いしたい」と呼び掛けている。

 奄美大島・徳之島の合計で交通事故発生件数を月別(00年1月~22年12月の累計件数)にみると、最多は12月の82件で、次いで10月75件、9月73件、4月71件などの順で多い。9~12月までの計は293件で合計(715件)の40・98%となり、9月以降の4か月間で全体の4割を占めている。

 9月から始める防止キャンペーンでは啓発チラシを配布する特別イベントやポスター掲示、奄美空港ロビーでの特別展示などを予定。クロウサギ交通事故を回避する具体的な方法として環境省は、▽林道ではクロウサギが急に飛び出してきても、すぐに止まれる速度で運転▽林道のみならず、県道・国道上にも出現することがある。特に徳之島では海岸付近の県道での交通事故が増えている。クロウサギが活動する夜間は特に注意し、ゆとりのある運転▽交通事故が多発している地点には、警戒標識などが設置されている。見かけたら、特に注意―を挙げている。