島料理の名店が閉店

閉店を惜しみ集まった常連ら(円内は叶夫妻とニコラス夫妻)

 

 

花火大会へ向かう人に応対するスタッフら(円内はかき氷をPRするニコラス夫妻たち)

 

 

主人の古里・徳之島で新たにオープンへ

 

 

 【東京】新鮮な海の幸などで、出身者らに親しまれていた千葉・市川市の奄美居酒屋が、今月16日に暖簾を下ろす。このほど閉店を惜しむようになじみの人たちが集った。都会で奄美の魅力を発信、憩いの場となった店は、徳之島で名前を変えてこの年末にも継続される。

 常連らが顔をそろえたのは「キッチンあまみ」。JR市川駅南口から程近くで4年間、自慢の奄美料理と黒糖焼酎で出身者らの胃袋を満足させてきた。

 8月5日、4年ぶりに開催された市川市民納涼花火大会では、店頭でかき氷とつまみ類などを販売した。東京・中央区で氷店を営む与論島出身の村田良一さんの縁で、元K1王者のニコラス・ぺタスさん、大相撲元関脇・鷲羽山の石田佳員さんが声を張り上げれば、元レスリング五輪選手の西見健吉さん、東京奄美会の泰良宗男幹事長、江浪まつみ事務局長、糸実東京伊仙町会幹事長らもサポートに徹していた。同店は、以前は近所と港区・新橋でそれぞれ12年間、計30年近く、代表の叶実統さんと妻・廣美さんが奮闘してきた。

 販売終了後、この日も店では、心のこもった料理がテーブルを埋め尽くした。「開店とともにコロナ禍で大変だった」と振り返る代表。4年ぶりの花火開催でにぎわい、店頭は完売し「(閉店を)考え直そうかな」と目を細めたが、「伊仙町に住む98歳の母(美恵子さん)の面倒を見なきゃいけないのでね」。遠い目で閉店の理由を話した。

 また、廣美さんは「義母は足も悪いですし、長い間頑張ってきたので、そろそろ古里に貢献する時期と判断しました」と夫に付いて徳之島に行く理由を笑顔で説明した。店内には、新極真会代表の緑健児さんらの色紙や「市川でも頑張って」の寄せ書きが誇らしげに飾ってある。

 そんな店を愛する皆の思いは、古里でも引き継がれる。「伊仙町伊仙の自宅で、古民家居酒屋を開きます」(実統さん)、「都会の経験も味に入れようかな」(廣美さん)。奄美料理でもてなす〝二人三脚〟は続いていく。「年末にも」と声をそろえる夫妻だが、現在の店を構えた時と同様「11月22日(いい夫婦の日)」をイメージしているようだ。「キッチンあまみ」(市川市市川南1の7の8、宝ビル1階)は今月16日まで。