秋名・幾里地区の住民たちが復元した唄や踊りが披露された「奄美十五夜唄あしび」
奄美市の自主文化事業「奄美十五夜唄あしび」(奄美市開発公社主催)が2日夜、同市名瀬の奄美川商ホール(奄美文化センター)野外ステージであった。龍郷町の秋名・幾里地区の住民が出演し、長く途絶えていた集落に伝わる唄や踊りを数十年ぶりに復活させて披露。約180人の観客らは、懐かしい踊りと音色に酔いしれた。
奄美十五夜唄あしびはシマ唄の育成と継承を目的に1993に始まり、今年で26回目。秋名・幾里地区のグループ「アンマとジュウの唄アシビ」と「八月踊り同好会」の総勢27人が出演した。
同地区では昨年、途絶えていた唄の古い音源が見つかったことを機に、今年3月に継承を目的とした住民有志の会を発足。1968年収録のテープを繰り返し見ながら、150年以上前から集落に伝わる唄や踊り、演奏の復元に取り組んできた。
ステージは、新たによみがえった「座り唄」で開幕。仕事唄の「ウギン草イト」や「タヌ草イト」、子守唄の「秋名のまりつき唄」など復活曲6曲を含む計10曲の唄が次々と披露された。
八月踊りでは「ふうもらぶ」「あまださがりや」など復元した7曲を発表し、男女が掛け合った。途中、踊りに詰まる場面には、観客らが「キバレ!」などと後押し。最後は天草と六調で会場との交流も楽しんだ。
発表を終えた発起人の窪田圭喜代表(82)は「緊張もありお粗末なところもあったが、お天道様が明るかったことが何よりだった」と笑顔を見せ、「埋もれていた唄が復活した。復元を起爆剤に、これからも伝承に取り組めれば」と話した。
鑑賞した唄者の福山幸司さんと平久美さんは「懐かしい曲で、昔の憧憬(しょうけい)が浮かんだ。今では聴かなくなった唄であり、これからも団結してずっと継承してほしい」と口をそろえた。