22酒造年度需給状況

黒糖焼酎出荷量、前年度並み
製成は16・6%減も「徐々に回復」

 県酒造組合(濵田雄一郎会長)は7日、2022酒造年度(22年7月1日~23年6月30日)の県内本格焼酎需給状況を発表した。出荷量を示す課税移出数量(25度換算)は9万台を下回り、8万9861㌔㍑で前年度比2・3%減少。原料別課税移出数量(実数ベース出荷量)でみると、奄美群島で製造されている黒糖焼酎は6826㌔㍑で前年度(6862㌔㍑)並みとなったものの、新型コロナウイルス禍前の18年度比では5・1%減少している。

 県全体の22酒造年度本格焼酎の需給状況をみると、年間生産量である製成数量(25度換算)は10万9629㌔㍑で、前年比2・7%増加した。課税移出数量(同)は前年度比で減少が続いており、減少は10年連続。9年連続で宮崎県に次ぐ全国2位となっている。

 同組合は、製成数量の増について「中でも芋焼酎は6万3555㌔㍑で、18年度比では23・2%減だが、前年比では8・8%増加している。主に、原料サツマイモが前年度よりは確保できたことや、今後の消費拡大を見込んで増産したものと考えている」とする。一方で出荷量は県内、県外ともに減少。18年度比では11・2%減と依然厳しい状況にある。

 九州4県の課税移出数量(年間出荷量、実数)を前年度比でみると、熊本1・7%減、大分1・0%増、鹿児島2・4%減、宮崎5・9%減となり、大分県(8万4242㌔㍑)のみ増加。宮崎県は最多(11万67㌔㍑)だったが、前年度比の減少率が最も大きかった。

 輸出の状況では海外への出荷は前年度比20・5%増の699㌔㍑。中国、韓国などで需要が回復しつつあり、出荷が伸びている。しかし、同組合は「中国政府が、東京電力福島第一原発処理水の海洋放出が始まったことを受け、日本産水産物の輸入を全面的に停止したのに続き、加工や調理、販売も禁じたことから、現地の日本料理店などにおける焼酎の消費への影響を懸念している」とした。

 県内の製成数量の原料別では、黒糖は5762㌔㍑で前年度比16・6%の大きな減少となった。奄美支部の乾眞一郎支部長は「造らないメーカーも出るなど在庫を抱え、滞っているため。コロナ禍前までには至っていないが、(大口需要の)飲食店の客が戻るなど徐々に出荷が回復している」とし、「今年に入り各メーカーも県外を中心とした出荷が伸びている。イベントや物産展が復活し、また試飲もできるようになったことで黒糖焼酎の飲みやすさを伝えることができ、明るい方向へと向かいつつある」との見通しを示した。