奄振輸送コスト支援22年度実績

 

 

バレイショ等は35%増
法延長による拡充 補助対象に沖縄移出

 

 

 国土交通省は2022年度の奄美群島振興開発事業に関し、実施した施策をまとめている。奄振交付金を活用したソフト事業の奄美群島農林水産物等輸送コスト支援事業の実績では、農産物は徳之島や沖永良部島で盛んなバレイショ等が2万5577㌧(原材料含む)となり、前年度比35・0%増加した。22年度から新たに加工品の製造に必要な原材料等を補助対象に追加している。

 同事業は、群島で生産された農林水産物及び加工品を群島外へ移出する場合や、移出する農林水産物及び加工品の原材料などの移入に関わる輸送コストを補助している。実施主体は群島の市町村で、農協や漁協、森林組合、農林漁業者で組織する団体など出荷団体が補助対象者となる。

 船舶・航空により、鹿児島港・鹿児島空港までの輸送にかかる費用が補助され、那覇港までの沖縄止まり、鹿児島県外は補助対象外。この事業スキームに対し、奄振法の今年度末(24年3月末)期限切れを前に、法延長・改定にあたって県が作成した総合調査報告書では沖縄への移出も補助対象とするよう国に求めている。事業の拡充で沖縄に目を向けたもので、「世界自然遺産登録を契機とした奄美群島から沖縄本島への農林水産物の移出について、新たに補助対象とするなど沖縄との連携等の強化を図る必要がある」とする内容。航空・航路の運賃割引でも沖縄路線の追加を求めており、法延長後の奄振では沖縄との連携が施策で実現するか注目されそう。

 補助対象の品目は、輸送コストを支援することによって生産振興、産業振興の促進を期待できる農林水産物(55品目)及び加工品(1市町村5品目まで)のほか、群島外に移出される農林水産物の生産に必要な原材料等(1市町村3品目まで)。22年度実績でバレイショ等以外の農産物は、沖永良部島などで生産が盛んな花きが18万1500梱包(原材料含む)で、前年度比では4・9%減少している。

 林産物はスダジイ等奄美産材2960立方㍍(前年度比15・2%増)、キクラゲ1万5800㌔㌘(同39・4%減)。水産物はマグロ類、クルマエビ等3483㌧(同11・9%減)。

 加工品(原材料含む)は、黒糖焼酎等362万873㍑、粗糖等4910㌧、産業機械等15立方㍍、黒糖焼酎などの瓶98万9254本。