シマ唄とフラメンコの唄が競演

満席でにぎわった店内の様子。正面奥左から桐朋さん、屋宮秀美さん、濱田吾愛さん、定直さん

画期的なライブ開催
サンシン、ギターの音色響き渡る

 【東京】シマ唄とフラメンコが競演した――。東京都新宿区高田馬場の店でこのほど、「マンサニージャと紅さんご」と酒の名前を題名にしたライブがあった。満席で熱気あふれる店内には、奄美とスペイン発祥の唄とサンシン、ギターの音色が響き渡った。画期的なひとときに参加者は満足そうな表情を見せていた。

 ライブが行われたのは、JR山手線の高田馬場駅戸山口からすぐにある「フラメンコバルあまじゃ」。フラメンコ好きには知られた店で、出演したのは屋宮秀美さん(60)とフラメンコ歌手・研究家の濱田吾愛(わかな)さん(59)。屋宮さんにはシマ唄仲間の桐朋忍さんがサンシンで、濱田さんには、定直(じょうじき)慎一郎さんがギターでサポートした。10のテーマをシマ唄とタンゴで唄い合うという趣向で「労働の唄」として「イトゥ」を解説しながら屋宮さんが歌い上げれば、濱田さんが同様に「tango de Granada」を熱唱。「口説き唄」では「一切朝花」「Tanguillo de cadiz」が披露された。掛け声(ハレオ)や手拍子(パルマ)なども交じり合った初のコラボは、店全体に歓声が巻き起こってフィナーレとなった。

 「シマ唄とカンテ(フラメンコにおける唄)に同じものが流れている」と感じていた屋宮さん。還暦を迎えたことと、「シマ唄を始め20年余り、フラメンコに関わって10年、両方を知っているからできる」が、開催のきっかけ。屋宮さんのカンテの最初の師でもある濱田さんに声を掛けて実現した。「フラメンコとシマ唄の歴史や人々の暮らしを味わってもらえたのではないか」と満足そうに振り返った。

 盛んな拍手を送っていた女性は「それぞれの唄の発祥地は離れているのに、もの悲しいところなどとても似ている印象」と話した。シマ唄ファンにはフラメンコが、フラメンコファンにはシマ唄が近しい存在になったようだ。