ショチョガマ設営にボランティアの力

急勾配を汗だくになって本柱を運ぶボランティア(10日、龍郷町秋名)

7㍍本柱を16人がかりで祭場へ
龍郷町秋名・幾里

 龍郷町秋名・幾里地区で伝承され、国指定重要無形民俗文化財になっているアラセツ(新節)行事のショチョガマ祭りは、旧暦8月初丙(はつひのえ)の日に当たる25日、4年ぶりに開催される。秋名アラセツ行事保存会(窪田圭喜会長)は10日、祭場に片屋根を設営する作業を行った。ボランティア約130人や地元住民らが参加し、汗だくになって山の中腹にある祭場へ大きな丸太を運び、片屋根を組み上げていった。

 午前8時の作業開始前から陸上自衛隊奄美駐屯地、奄美警察署などからボランティアが続々と集まり、神事への参加を前に、一人一人焼酎と塩でお清めを行った。

 最初の作業が一番の力作業。祭場正面に建てられる約7㍍の2本の「本柱(ほんばしら)」を16人がかりで担ぎ、急勾配を中腹まで運んだ。切られて間もないイタジイの生木はずっしり肩に食い込んでいた。4本のスダチ柱、25本のケタ柱なども次々と運び込まれた。

 約1㍍の穴を掘る作業と、運ばれたイタジイの皮をむく作業も進み、本柱が立てられると、参加者から歓声が上がった。

 作業は夕方まで続き、細いイタジイでケタを上げ、キンショウダケ(ホテイチク)やワラを使って屋根が葺(ふ)かれた。最後に、竹で編まれたすだれ状の「シル(白)」でスダチ柱が飾られた。

 奄美市名瀬出身で自衛隊奄美駐屯地・基地通信隊の萩原啓太さん(38)は「地元の文化行事に参加したくて転任した」と、念願がかなった満足感を語った。

 本柱を立てる作業に参加した大島高校3年の増本隆太郎さん(17)は「想像よりずっと重かった。本番も参加したい」「島の文化継承を考えると、学生も積極的に参加してほしい」と話した。

 窪田会長は「参加してくれたボランティアに感謝の念が尽きない。25日の祭りは早朝になるが、ぜひ出勤前に参加してほしい」と呼び掛けた。