4年ぶり大規模災害訓練

大規模災害訓練で迅速に処置を行う医師や看護師ら(12日、県立大島病院)

地震発生を想定、連携など確認 課題今後に生かす
県立大島病院

 奄美市名瀬の県立大島病院(石神純也院長)は12日、2019年以来4年ぶりとなる大規模災害訓練を同病院内で行った。奄美大島近海で地震が発生したことを想定し、院内でのトリアージ、傷病者の治療や処置などを訓練。大島地区消防組合や陸上自衛隊など約240人が参加し災害時の連携などを確認した。

 訓練は、災害が発生し同院も被災する中で、迅速な対策本部の立ち上げ、患者の安全確保と受け入れ、連絡手段の確保と情報の整理、重篤な患者の対応方法を再確認することが目的。

 同院は、奄美群島の災害拠点病院に指定されており、災害時には傷病者の積極的な受け入れや他医療機関との連携、島外への搬送など円滑な医療の提供が求められている。このため「救急の日(9月9日)」が制定されている9月に同様の訓練を計画。新型コロナウイルス感染症の影響で4年ぶりの実施となった。

 訓練は奄美大島近海の深さ10㌔を震源としたマグニチュード7の地震が発生し、奄美市名瀬で震度7が観測されたとの想定。医師、看護師のほか、県立奄美高校の生徒と奄美看護福祉専門学校の学生も模擬患者として参加した。

 午後1時10分の地震発生後、災害対策本部を設置し、院内の被災状況の確認及び傷病者受け入れのためにロビーが整理された。同36分、院長が傷病者受け入れを宣言した。

 宣言後には続々と搬送される患者を玄関前に敷かれたござの上で、負傷者を重症度、緊急度などによって分類するトリアージを実施。優先順位の高い患者から順に、ストレッチャーや車いすでロビーに運び込んだ。ロビーでは、エリアごとに医師や看護師らが患者を処置しながら、本部に状況を報告した。

 石神院長は「研修医のトリアージは、事前研修の成果もありうまくいった。しかし、1階と本部の連携が課題。本部の設置場所などの検討が必要だ」と総評した。

 中村健太郎救命救急センター長は「特に初動の部分がうまくいかず、1階の情報が本部に上がりにくいといった状況もあった。エリアごとの反省会を行い、取りまとめて今後に生かしていく」と語った。

 患者役として参加した看護福祉専門学校看護学科2年の田原惇也(あつや)さんは「医師や看護師の、早いながらも冷静に対応する姿がすごかった。同じように冷静な対応ができる看護師になりたい」。奄美高校衛生看護科2年の森元智恵さんは「一連の流れが速く、改めて看護師はかっこいいと思った。助産師になるという夢が広がった」と話した。