市議会産業建設委

古田町の急傾斜地対策請願採択
「筆界未定地、県事業は困難」 一部を市単独で実施へ

 奄美市議会9月定例会は13日、産業建設委員会(大迫勝史委員長)を開き、2023年度一般会計補正予算(第6号)と市水道事業、下水道事業の両会計補正予算の4議案を原案可決した。同市名瀬古田町の自治会長ら住民3人が提出した請願「住民の命と財産、暮らしを守るため、急傾斜地崩壊対策工事の早急な実施についてのお願い」は、全会一致で採択した。

 請願は同町自治会長の大平隆さんら3人が住民66人の署名と一緒に提出。同町の急傾斜地域で大雨時に「滝のような流水が発生し、不安で身体の縮む思いである」などとし、早急な崩壊対策工事を要請した。

 委員会では市側が同地域の現状や対策の実現性などについて説明。崩壊対策工事を実施する条件として「地権者から施工の同意と、対策工事に必要な土地の無償提供が必要」とした上で、「該当する区域については、地籍調査が完了しているが、一部に境界が確認できない筆界未定地(ひっかいみていち)が存在、結果として施工同意と土地の無償提供ができない状況にある」とし、県の急傾斜地崩壊対策事業の実施は困難との認識を示した一方、「部分的ではあるが、境界が確定している箇所については市単独事業での対策実施を検討していきたい」との方針を明らかにした。

 一般会計補正では、サテライトオフィス等利用促進事業での利用促進を計画している同市名瀬のワークスタイルラボの利用状況について、オープンした21年度1780人、22年度2683人だったことを報告。利用者の約3割が島外からの観光客や企業研修によるものだった。

 サテライトオフィス等利用促進事業では、県外企業を対象に同市の施設利用を体験するモニターツアーを実施し、テレワークなど柔軟な働き方ができる環境が整っていることをPRし、継続的にワーケーションに取り組む。

 下水道事業会計では、下水道料金の値上げ時期を4月から10月に、6か月間延期したことに伴い、事業収益が4884万円減少することが報告された。