医療費助成給付方式見直し

県、重度心身障がい者は自動償還払いへ
子ども医療費 課税世帯も見直し検討

 

 

 医療費助成事業の給付方式で県は、重度心身障がい者の負担軽減を図るため見直しを図っている。現在の「償還払い方式」から市町村への申請が不要な「自動償還払い方式」に変更。「現物給付方式」へのさらなる変更については運用状況を見極めて判断する方針だ。

 開会中の県議会9月定例会代表質問で、知事のマニフェストに関し公明党の森昭男議員=鹿児島市・鹿児島郡区=が取り上げた。

 塩田康一知事の答弁によると、重度心身障がい者(療育手帳A1・A2、身障手帳1・2級所持者など)医療費の見直しについては、負担軽減を図る観点から2020~21年度にかけて他県の制度内容や支給方式の変更に至るまでの取り組み・課題などについて調査。調査結果や手続きの簡素化、制度変更に伴う県及び市町村の財政に与える影響なども考慮して支給方式が検討された。

 それにより償還払い方式(医療機関を受診して、窓口でいったん自己負担金を支払い、その後、市町村へ交付申請)から自動償還払い方式(市町村への交付申請が不要)に変更することについて昨年度、市町村、県医師会、障がい者団体、審査支払機関等の関係機関団体などで構成する関係者会議で意見を聞き了承を得たという。知事は「自動償還払い方式に変更することで重度障がい者の方々は市町村へ毎月、支給申請を行う必要がなくなることからマニフェストに掲げた手続きの簡素化等の取り組みが着実に進んだと考えている」との認識を示した。

 変更された自動償還払い方式から現物給付方式(受給者証を提示して、医療機関を受診するだけで窓口負担なし)への変更については、県及び市町村のさらなる財政的な負担増が見込まれるという。県は24年度早期の開始に向けて準備を進めている自動償還払い方式の運用状況を見極めていく。

 子ども医療費制度の見直しに向けた検討にも取り組んでいる。岩田俊郎子育て・高齢者支援総括監の答弁によると、経済的な理由から医療機関の受診控えで症状が重篤化することを防ぐため、住民税非課税世帯の高校生までを対象に自己負担を求めることなく現物給付方式を導入、窓口負担ゼロとなっている。

 県では現在、自動償還払い方式としている課税世帯についても子育てのしやすい環境整備の観点から制度の見直しについて検討。「自動償還払い方式から現物給付方式へ移行した自治体では医療費の増加に伴う財政負担の増加がみられる」として、持続可能で安定的制度となるよう見直しの方向について検討を行っており、今年度末までには現物給付方式への移行の可否も含めて検討結果を示す考えだ。