クロウサギ交通事故死が急増

クロウサギの交通事故防止を訴えチラシを配る環境省職員たち

 

 

 

遺産センター内には啓発強化へ目撃情報を募る注意マップやアンケートボードも新たに設置した

 

 

 

環境省らが防止キャンペーン 奄美市で啓発活動
「夜のスロードライブ心掛けて」

 

 

 国の特別天然記念物アマミノクロウサギなどへのロードキル防止を啓発する「交通事故防止キャンペーン」が16日、奄美市住用町の奄美大島世界遺産センターで始まった。クロウサギの交通事故死は今年8月末時点で111件と、過去最多ペースで急増している。参加者らは多発する被害を食い止めようと啓発チラシを配り、クロウサギに配慮した安全運転を呼び掛けた。

 環境省によると、8月末までの内訳は奄美大島90件、徳之島21件(うち1件は保護中)。昨年同時期の78件(奄美大島58件、徳之島20件)と比べ、大幅に増えている。

 被害が急増した背景には、個体数の増加や観光客の回復が考えられる。ただ、奄美大島では前年比で1・5倍と急激に増えており、同省は「個体数の増加ペースと比べても事故数は多すぎる」と分析を急いでいる。

 今年は、チラシ配布や自治体広報誌での啓発、観光施設でのポスター掲示などのほか、シールで目撃場所を教えてもらう「注意マップ」やクロウサギへの関心を聞く「アンケートボード」を新たに設置。キャンペーン期間も12月末までと2か月間の延長を決めた。

 センター前では、環境省やセンター職員、保護団体の関係者らが「車の運転には気をつけて」と声掛けし、来場者らにチラシを配った。センター館内ではアンケートへの協力を求め、目撃情報も併せて募った。

 環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「(今年も)事故を減らすどころか増えている事実がある。減らすための努力は急務だ」と危機感を示し、「それでもドライバーには、気を付けて運転してもらうことが一番。夜間はスロードライブを心掛けてほしい」と安全運転を呼び掛けた。