徳之島町、山中学校が来年度「休校」へ

山中学校の「休校」も意識して記念撮影も「山幼稚園・山小・山中・山校区秋季合同運動会」=17日、徳之島町山中学校で

少子化・人口減あらがえず
合同運動会で思い出

 【徳之島】徳之島町立山中学校(現生徒数7人)は2024年度から「休校」となることが分かった。背景には少子化・人口減に歯止めが掛からず、在籍見込みが「1人」に陥ることへの教育的配慮が。17日、同校であった伝統の「山幼稚園・山小学校・山中学校・山校区秋季合同大運動会」。例年以上の参加者で盛り上がったが、表情は複雑だった。

 同町教育委員会や同校の「学校の在り方検討委員会」(学校・家庭・地域の3者組織)、学校運営協議会などで協議を重ね、8月までに「来年度からの休校」を結論付けていた。

 背景に、現在校生7人のうち6人が3年生で、1人(1年生)は県外からのふるさと留学生で期限は3月末まで。山小(児童数7人)の6年生、来年度の同中学入学対象者は1人。全校生が1人となる学校生活・教育環境に対する本人の希望もあり、南に約4、5㌔離れた同町立東天城中(花徳)に通うことに。25年度についても入学者ゼロ予想となっている。

 山中は1948(昭和23)年3月東天城村立第二中として山小敷地内に設置後、51年に現校地に移転、52年に同村立山中および58年4月の町村合併で徳之島町立同中に校名変更、90年3月には新校舎が落成。一時期は100人以上が在籍、数千人の卒業生が巣立った。休校決定は75年の歴史上初めて。

 卒業生でもある同町の福宏人教育長(63)は、小規模校・複式学級間のICT活用による合同授業にも取り組んだが、「生徒数が1人だけでは支えきれない。親子や学校運営協議会でも協議を続けた」。同中PTA会長で「学校の在り方検討委員会」委員長の松村大吾さん(48)は「山小複式学級で1人学習の辛い経験した子の希望もある」とも。

 ちなみに山小および同中学校区(山・金見・畦集落)は現在、世帯数207戸・374人。

 卒業生で自営業の吉山友幸さん(71)は「思えば山集落には昭和30年代、製糖工場やパイン缶詰工場、パチンコ店、映画館、銭湯、建設会社、観光ホテルもあり隆盛を極めた。ホテルニューオータニが撤退後は大勢いた従業員も各地に離散。以後これと言った事業所もない。一時休校とは言え、再開は難しく影響は大きいのでは」と肩を落としていた。