県議会一般質問

子牛価格下落支援、国事業見直し
入札不調 建設業の技術者不足で対策

 県議会9月定例会は21日、引き続き一般質問があり、平原志保議員=無所属、霧島市・姶良郡区=、寿肇議員=自民党、大島郡区=、米丸麻希子議員=自民党、姶良市区=、長田康秀議員=自民党、鹿児島市区・鹿児島郡区=が登壇した。大島地区の競りでも肉用子牛価格の大幅下落が続く中、寿議員が支援策を質問。今年に入り国の緊急対策として「和子牛生産者臨時経営支援事業」が措置されたが、7月に見直され、支援策の拡充が説明された。

 米盛幸一農政部長の答弁によると、県内の子牛価格は昨年4月の約72万円から今年8月には約52万円に下落。配合飼料価格の高止まりや枝肉価格の低減などにより肥育農家の収益性が悪化、購買意欲減退が背景にある。

 価格下落への支援では国が和子牛生産者臨時経営支援事業を措置、九州沖縄ブロックの平均価格が税込60万円の発動基準を下回った場合、差額の4分の3を交付、今年4~6月期は子牛1頭あたり1万5千円が交付された。また、全国の平均価格が基準価格の税込55万6千円を下回った場合には国の肉用牛生産者給付金制度により差額が補給金として交付されている。

 米盛部長は同事業が7月に見直されたことを説明。「従来の措置に加え全国の平均価格が同給付金制度の基準価格を下回り、かつブロック別の平均価格が全国平均価格を下回った場合でも差額の4分の3が交付されることとなった」と述べた。

 高止まりしている配合飼料価格の高騰対策では、影響を緩和するため国が安定制度を措置しており、今年度からは新たに特例を加えている。米盛部長は「これにより直近の今年度第一四半期はトンあたり7050円の補填(ほてん)金が交付された」と述べ、県も同制度の生産者負担の一部を助成するとともに、国に対し開発促進協議会を通じて制度の安定運用を図るため予算確保を要望したとした。

 人手不足の中、働き方改革で時間外労働の上限規制が来年4月から適用される「2024年問題」に関連し、建設工事の入札で不調が出ていることが取り上げられた。安原達・土木部長兼本港区まちづくり総括監の答弁によると、今年度8月末現在で974件の開札のうち35件あり、不成立は3・6%となっている。安原部長は「入札不調は、技術者や技能労働者の不足が主な原因と認識している」と述べ、対策として▽現場代理人が兼任できる工事の件数を3件まで、請負額の合計を8千万円未満まで緩和▽工事期間の前に余裕期間を設定できる対象工事を原則として全ての工事に拡大―を挙げた。また、特に緊急を要する災害復旧などの工事は指名競争入札で1社による入札不調となっても、そのまま随意契約を行うよう取り扱いを改めたことも報告した。

 2024問題では製糖工場での取り組みも質問された。米盛部長は「製糖工場では設備の自動化の遅れ、ボイラー技士など資格を有する技術者が少ないことで長時間労働が常態化していた」と述べ、国の事業を活用し設備の自動化や従業員の資格取得支援などに取り組んでいると説明。それにより22年度、県内全ての製糖工場で時間外労働の上限である複数月平均80時間以内を達成しているとした。