大島紬作品がギャラリー席巻

「針を通すのに力を必要とした」と「青・碧・あお・蒼・藍・Sumarkand blue」の最新作の前で話す黒田さん

黒田さんの著書『わさびの里より キルト作家が贈る里山の幸』

大島紬で作成された茶道具入れの仕覆など

黒田街子さんパッチワークキルト展 金沢の21世紀美術館市民ギャラリーで
「仕覆」など珍しい大島紬作品も

 和歌山を拠点に大阪、金沢、宮崎、奄美、東京でパッチワークキルトの指導を行っている黒田街子さん(公益財団法人日本手芸普及協会本部講師)のパッチワークキルト展が金沢21世紀美術館市民ギャラリーで5日から10日まで開かれた。初日、黒田さんが著した『わさびの里より キルト作家が贈る里山の幸』(図書出版木星舎刊)のギャラリートークが行われ、パッチワークキルトだけではなく食への思いなど多彩な活動ぶりが紹介された。

 同展示室には黒田さんの作品10点が飾られ、2010年作成の「揺籃(ようらん)」から11年「オオワシが来る聖湖」、18年「恩返し」、20年「大島紬 歓喜の音色」、21年「奄美の神々は唄う」、22年「祝女神衣憧憬(しょうけい)」、23年「大島紬結晶」、同年最新作「青・碧・あお・蒼・藍・sumarkand blue」まで、大島紬を使用して作成された作品8点も市民ギャラリーの部屋を席巻した。

 黒田さんは「大島紬を世界に発信していく活動を続けていく。世界にも誇れる大島紬の素晴らしさを伝えていきたい」と熱く語った。最新作の「青・碧・あお・蒼・藍・Sumarkand blue」についても、「大島紬が針をも通さない精微な織物だと痛感した。力を必要とした」と大島紬を扱う作品作りの苦労も紹介した。

 また、会場には奄美で指導を受けている生徒たちの作品も並び、川端幸子さん(68)は「21世紀美術館に自分の作品が飾られるなんて夢のよう」と興奮冷めやらぬ様子で語り、加計呂麻島出身で鹿児島本土の出水に住む児島その子さんは、出水に飛来するツルを題材に初の展示作品に挑んだ。一緒に来館した、いとこの伊藤フサコさん(69)は、「一言で、すごいよ。大作作るのを知っていたけど、すごい」と語っていた。

 展示された作品の中には、中川康子さん制作の「仕覆」(しふく=茶入れや茶わんなど茶道具類を入れる袋)も並び、大島紬の使い方が異彩を放っていた。