JAあまみ大島パッション

JA共販実績では単価の下降が報告された2023年産「奄美パッションフルーツ」出荷反省会

持ち込み数量増も単価下降
他産地市場参入 差別化へ「K‐GAP」取得求める

 JAあまみ大島事業本部は22日、奄美市名瀬朝戸の奄美大島選果場で2023年産「奄美パッションフルーツ」出荷反省会を開いた。選果場への持ち込み数量は前年産より1・6㌧増となったものの、共販実績では平均単価が下降。東京など島外市場への他産地からの参入などが影響しており、差別化へ生産者の安心・安全取り組みを消費者に正確に伝える「K‐GAP」(鹿児島県産農林水産物認証制度)取得を求める提案があった。

 選果選別まで対応しているJAのパッションフルーツ共販利用者は奄美市名瀬地区を中心に20人弱にとどまっている。会議には生産農家のほか行政関係者も出席した。

 23年産の取り扱い状況・販売経過報告によると、選果・出荷は5月26日に始まり7月28日で終了、例年通りの出荷期間となった。全体の持ち込み数量は前年産より増え3・1㌧。Lサイズ中心で前年より2Lが増えたという。共販取り扱い目標=数量2・07㌧、単価1700円、金額352万7千円に対し、規格外品を除く製品実績=数量2・9㌧、単価1449円、金額427万3千円となった。

 単価が下がった要因についてJAが説明し、▽JA系のくみあい食品が行っているネット販売の取り組みの遅れで注文数量の減少▽他産地(県本土では曽於など大隅地区)の出荷量が徐々に増え、市場関係金額の低迷―などを挙げた。JAは今後の取り組みとして「県外市場出荷は東京中心だったが、大阪や名古屋など引き合いがある他市場にも出荷し、単価の低迷をカバーしていきたい」と話し、出荷方法では中元用として化粧箱を仲卸が求めていることから、「評判が良く今後、化粧箱での出荷を増やしたい」とした。

 出席した生産者からは島外市場での他産地との競合にあたり、「差別化を図るため『K‐GAP』取得を目指してはどうか。すぐには単価に反映されなくても、第三者の認定によって安心・安全の取り組みが市場の仲卸に評価され、販路拡大が期待できる」との提案があった。JA果樹部会としての取得を働きかけていく。

 このほか、くみあい食品を通じて行われている地元スーパーへの出荷では「化粧箱入りで販売されているのに、果皮にシワがあるものがあり、品質の良さをアピールできていない」との指摘が生産者からあり、商品管理の改善を要望していく。