県議会一般質問

県立病院影響「回避できる」
医師の働き方改革対応 宿日直の派遣中止など診療体制

 県議会9月定例会は22日、引き続き一般質問(最終)があり、橋口住眞議員=無所属、出水市区=、前野義春議員=県民連合、鹿屋市・垂水市区=、池畑知行議員=自民党、伊佐市区=、宝来良治議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=が登壇した。2024年度以降、診療に従事する勤務医には時間外・休日労働時間の上限規制が適用されるが、県立病院診療体制への影響について、宿日直に関係する医師の派遣中止により診療体制に影響が及ぶ事態は「回避できる」との見通しが示された。

 福元俊孝・県立病院事業管理者は答弁で「医師の働き方改革に対応するためには医師の労働時間を的確に把握することが重要。中でも宿日直時間の取り扱いは、時間外労働時間の上限規制に大きく影響することから派遣元の大学含め全ての病院に共通する課題」と説明。

 現在、県立病院で宿日直のため鹿児島大学から医師派遣を受けているのは薩南、北薩、姶良の3病院(宿日直の頻度は月1~2回程度)で、大島は受けていない。各県立病院では勤務実態に合わせて宿日直許可の手続きを進めており、福元管理者は「宿日直にかかる医師派遣の中止により診療体制に影響が及ぶ事態は回避できるものと考えている。現時点において鹿児島大学との間では、働き方改革による医師派遣の問題は発生していないところであり、来年度以降の診療にも影響はないと認識している」と述べた。

 医師の働き方改革に向けた各医療機関への支援では、房村正博・くらし保健福祉部長の答弁によると、17年3月に医療従事者の勤務環境改善を促進するための拠点として、労務管理に関する知見を有する団体に委託し「県医療勤務環境改善支援センター」を設置。来年4月からの医師の時間外労働の上限規制の試行に向けて、労務管理をはじめ医療経営面から個々の医療機関ニーズなどに応じて専門家による指導、助言などの支援が行われている。房村部長は「時間外労働の上限規制が適用されることにより医師の派遣止めによる地域医療の縮小が懸念されるとの意見は承知している」とした上で、「現時点で具体的な相談は受けていないが、引き続き医師の働き方改革に向けた医療機関の取り組みを支援するとともに、救急医療など地域医療に影響が出ないよう関係機関と連携して取り組む」と述べた。

 鹿児島県は養豚の飼育頭数が全国トップだが、佐賀県での「CSF(豚熱=豚(とん)コレラ)」感染確認を受け、対策としてワクチン接種が取り上げられた。米盛幸一・農政部長は「本県でのワクチン接種は9月27日から開始することとしており、各農場から提出された接種計画に基づいてワクチンの確保や配送などの準備を進めている」と説明。ワクチン接種にあたっては国から「流通等の関係上リスクが高いと考えられる農場や、飼育頭数が多いなど発生時の蔓延(まんえん)リスクが高い農場から接種を開始することが示されている」として、こうした農場を先行して進めるとした。

 また対策では野生イノシシの捕獲強化についても言及。米盛部長は「国の通知を受け県では県全域を捕獲重点エリアとして設置するとともに、野生イノシシの生息密度が高い地域や養豚場周辺において積極的に捕獲の実施、効率的な捕獲に向けてICT(情報通信技術)わなや大型囲いわな等の導入を行うよう県内各市町村に通知している」と述べた。