笠利町 佐仁の八月踊り

4年ぶりに2地区で実施した佐仁の八月踊り(写真は1区)

 

 

男女掛け合い、地域の無病息災願う
4年ぶり、1・2区で

 

 

 奄美市笠利町の佐仁集落で25・26日、アラセツ・シバサシの伝統行事「八月踊り」があった。集落内の1区と2区が分かれ、それぞれの地区で行うのは4年ぶり。民家の庭先では男女が唄を掛け合いながら輪をつくり、地域の無病息災を願った。

 佐仁集落の八月踊りは2011年に県の無形民俗文化財に指定。新型コロナウイルスの影響で20、21年は中止。22年は継承活動のため合同で実施しており、2地区が各地区で2日間踊るのは4年ぶりになる。

 1区(宮崎行弘区長、約80世帯120人)では午後6時、火災防止を祈る「庭のしょうじ(掃除)」でスタート。民家を巡りながらチヂン(太鼓)を打ち出した女性たちの声が響くと、住民や出身者、観光客らが次々と輪に加わり、元気な踊りを繰り広げていた。

 2区(南豊志区長、約62世帯130人)では、老若男女が浴衣やそろいのTシャツ姿で参加。活気ある六調やハナ(寄付金)の披露、ご馳走の振る舞いにも住民の笑顔は広がっていた。

 段々とテンポが速くなる「あらしゃげ」と呼ばれる踊りが佐仁の特長。2地区では各民家を巡りながら、夜更けまで歓喜の踊りは続いた。

 1区の前田幸代さん(85)は「唄や踊りには、暮らしにふさわしい価値観が詰まっている。(4年ぶりの区別開催に)みんな張り切ってご機嫌だった」と笑顔を見せ、2区の南区長(64)は「最高。踊りで盛り上がることで集落にもまとまりが出る。互いに団結力を高めつつ、佐仁の伝統を守っていければ」と話した。