徳之島さとうきび勉強会

面積・生産量減の厳しい現状を再認識した、徳之島さとうきび生産対策本部「勉強会」=27日、徳之島町で

 

 

生産者交付金アップを
規模拡大遅れなど 厳しい現状再認識

 

 【徳之島】徳之島さとうきび生産対策本部(高岡秀規本部長)主催の「徳之島さとうきび勉強会」が27日、徳之島町生涯学習センターであった。2023年(23/24年期)生産見込み量の低迷(15万7229㌧)に至った面積減や規模拡大遅れ、単収低迷など基幹作物の厳しい現状を再認識。園芸、畜産飼料畑との競合のほか「もうからないのが最大の理由」と、生産者交付金引き上げ対策を求める意見もあった。

 コロナ禍の影響で4年ぶり2回目の開催。徳之島3町長や各町農政、町議会、県、JAあまみ徳之島・天城両事業本部、南西糖業㈱、きび輸送組合、農作業受委託組織など同島サトウキビ関連機関・団体の代表約50人が一堂に会した。

 生産状況報告(対策本部事務局)のうち生産量については、直近7年間(17年~23年産見込みまで)の平均が16万8720㌧。18年以降は大型2工場体制(南西糖業)に必要な「18万㌧以上」の未達が続いている。公的資金の注入が続いている増産計画比で23年期は78・04%に低迷した。

 近隣他島と比べた17年生産量比の増減率は①種子島(現面積2343㌶)19・46%増②沖永良部島(1772㌶)4・52%増③喜界島(1392㌶)5・49%減④徳之島(3173㌶)18・11%減と最も減少率が高い。

 7年間の3作(夏植え・春植え・株出し)の10㌃平均単収も5・119㌧と「やや低位」にあり、特に夏植えが他島との全体平均比に比べて低い。

 一方で、農家戸数は①徳之島2565戸(増減率12・19%減)②種子島1228戸(30・78%減)③沖永良部島1042戸(5・87%減)④喜界島511戸(12・20%減)の順。農家1戸当たりの生産規模は①喜界島2・72㌶(増減率10・87%増)②種子島1・91㌶(47・55%増)③沖永良部島1・70㌶(13・61%増)④徳之島1・24㌶(4・10%増)。徳之島では「戸数の減少、規模拡大の停滞などから生産量の減少に歯止めが掛からない状況」。

 徳之島でキビ面積拡大が難しい要因に、▽バレイショ面積(21年969㌶)▽肉用牛飼養頭数の急増(同年1万8440頭)に伴って鮮明化している草地拡大(同年1844㌶)を挙げる。

 課題として、①各町で(増産)助成支援しているが、面積減少に歯止めが掛からない②新ジャンプ会(キビ大規模農家)と畜産担い手がお互いに拡大志向で競合している③畜産・園芸には積極的に設備投資し、キビ生産に回帰できるか不透明―など指摘も。

 意見交換で大規模生産者組織代表からは「規模拡大が進まないのは、もうからないのが最大の理由と思っている」。町行政担当は「単収向上には、バレイショなど他品目との輪作(連作障害防止)も必要」など指摘もあった。

 席上、南西糖業の神﨑俊社長は「現在の生産量では赤字続き」として、経営を圧迫している事象を報告。島内2工場の維持に必要な「キビ生産量18万㌧以上」の確保に協力を求めた。