世界遺産推進共同体・勉強会

アマミノクロウサギの交通事故防止に向けて行われた勉強会(29日、大和村思勝)

「属性分けた対応必要」
クロウサギ事故撲滅へ 会員5機関が意見交換

 県内外の民間企業、団体で組織する「世界自然遺産推進共同体」(代表・久見木大介日本航空鹿児島支店長)は29日、国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故防止勉強会を環境省奄美野生生物保護センター(大和村思勝)で開いた。会員5機関13人が参加。奄美大島と徳之島のみに生息するクロウサギの生態、ロードキル(交通事故死)の現況と取り組みを確認し、今後の対策を意見交換した。

 共同体は2019年8月、民間の立場から奄美群島などの世界自然遺産登録を推進していくことを目的に発足。奄美大島、徳之島を中心に66の企業・団体で構成され、環境保全、世界遺産の普及啓発など活動を展開している。

 勉強会では、同省奄美群島国立公園管理事務所職員らが希少生物保護に関する取り組みを紹介。▽特定外来生物マングースの駆除▽野生化したノネコの捕獲―の現状報告があり、捕獲ゼロが続くマングースについては、根絶の成否を科学的に検討中と伝えられた。

 クロウサギのロードキル対策については、奄美大島内の事故件数が昨年107件、今年は8月末時点で90件と増加傾向にあるとし、▽啓発活動の期間延長▽標識や看板、減速帯の設置▽速度制限など通行規制▽道路侵入防止ネット―などを報告。クロウサギの生態、特徴の解説を交えながら、動物との共生は人間が考えるべき課題とする各対応策が説明された。

 今後の対策については参加者から「(来島者が少なかった)コロナ禍でもロードキルが減らなかったなど、地元民、観光客と属性を分けた対応が必要ではないか」「道路など開けた場所に出る習性を踏まえて、あらかじめ広場を設置してはどうか」などの意見があった。

 この日は、道路侵入防止ネットなどが設置された村道マテリア線の視察も行われた。