徳之島町下久志 4年ぶり「サンシキ」親睦の宴

中秋の名月の下、延長約100㍍の「サンシキ」(仮小屋)で続いた懇親の宴=9月30日、徳之島町下久志


会場を和ませた新生児たちの「ミイバマフマシ」と、怪力自慢の「力石大会」

下久志「十五夜祭り」に約300人

 【徳之島】徳之島町下久志地区(時亮区長、75世帯・約135人)の一大伝統行事「十五夜祭り」が9月29、30日の連夜、聖地「十五夜浜」で4年ぶりにあった。延長約100㍍に及ぶ名物のかやぶき仮小屋の「サンシキ」も復活。中秋の名月の下、出身縁者らも交えた宴で絆を確かめ、新生児たちの成長を祈る「ミイバマフマシ(新浜踏まし)」や、怪力自慢の「ハンタ石(力石)担ぎ」大会なども楽しみ、活気に包まれた。

 下久志「十五夜祭り」は数百年以上の伝統を誇る同地区最大の伝統行事。コロナ禍で中断を余儀なくされ残念がらせてきたが、青年団(上田健太団長)を中心に集落の青壮年層が再び奮起。昔ながらの「サンシキ」の再現は、屋根材のススキの刈り集めや浜への支柱立てなど多くの人手と労力を要するが一致協力し、地域の建設会社も機動力で貢献した。

 十五夜当日の29日は、慣例に従って子どもたちの踊りや三味線演奏、女性連の踊りなど住民だけで親睦交流を深めた。そして「ナーチャ(翌日)十五夜」と呼ばれる十六夜(いざよい)が十五夜祭りの本番。待望の復活開催とあって、出身縁者やその知人・友人や来賓など含め「十五夜浜」の交流人口は約300人に膨れ上がった。

 潮騒とともに赤い満月が「十五夜浜」を照らし始めた午後7時半頃、「サンシキ」が取り巻く砂上の土俵上では、この1年間に生まれた赤ちゃん16人とその保護者たちを紹介。健やかな成長を祈願する「ミイバマフマシ」の土俵入りも次々と披露し、拍手と笑顔の花を咲かせた。

 その後、伝統の「ハンタ石」(約72㌔)を肩まで担ぎ上げる「力石大会」もスタート。怪力自慢たちが、つかみどころのないハンタ石相手に飛び入り挑戦して会場を沸かせた。女性連の踊りや伝統芸能「下久志キョーダラ」の全体踊りでも絆を確認し合った。

 家族や友人ら参加した地元の主婦小田京子さん(67)は「準備など祭りに至る過程は大変だったと思うが、下久志十五夜祭りの伝統は守り続けてほしい。参加して楽しむと元気が出る」とにっこり。

 祭りの牽引(けんいん)役となっている地区青年団の上田団長(37)=公務員=は「少ないながらも青年団員たちが主体となって地域に密着し、壮年層や出身者たちも巻き込んだ活動が大事。今回も多くの方々の協力をいただき感謝しかない。十五夜祭りの魅力を伝えながら伝統を守りたい」と力強く話した。