十五夜に「お菓子下さ~い」

チヂンを打ち鳴らし町内の家々を回る石橋町子ども育成会の子どもたち

石橋町子ども会 チヂン鳴らし家回る

 奄美市名瀬石橋町で30日夜、奄美に伝わる中秋行事「十五夜家(やぁ)まわり」があった。子どもたちは真ん丸の月夜の下、チヂン(太鼓)を打ち鳴らして町内を歩き、家々の庭先に並べられた菓子をねだった。

 石橋町子ども育成会(池田紀子会長)が主催し、今年で6回目。旧暦8月15日に行われる十五夜伝統の行事で、この日に限り、供え物である菓子を子どもたちに盗まれることで、厄払いになるといわれている。

 今年は10軒の民家や店舗が協力。小中学生の児童生徒ら約30人が午後6時に同町の新川ふれあい館を出発し、懐中電灯を手に保護者らと一緒に夜道を練り歩いた。

 一行は、チヂンを持った子どもを先頭に唄を歌いながら家々を回り、目的地では「お菓子を下さ~い」と元気に促した。玄関や庭先には、手作りの団子や黒糖菓子のほか、チョコレートやキャンディーなどがテーブルに並べられた。主人らが「どうぞ」と声を掛けると、子どもたちはうれしそうに菓子を袋に詰め込んでいた。

 毎年楽しみだという奄美小5年の喜島歩斗君と池田光君は「時間をかけて作ってくれたお菓子。家族と一緒に味わいながら食べたい」と喜んでいた。

 池田会長は、「普段は接する機会が少ない中、子どもたちを温かく見守っていただいている住民には感謝しかない。今年はコロナも落ち着いてにぎやかになった。地域の伝統行事として続けていければ」と話していた。