観光マスタープラン有識者会議

オンラインで行われた奄美群島観光マスタープラン有識者会議

 

 

「観光消費額増やす取り組みを」
目指すべき姿で意見交換

 

 奄美群島観光マスタープラン策定のための第1回有識者会議が2日、オンラインで行われ、同プランのたたき台を基に意見交換などが行われた。観光や自然環境、文化、島嶼地域などの研究を行う大学の有識者ら7人で構成する同会議の委員らと、プラン策定主体の奄美群島広域事務組合の職員らが、奄美群島や各島の目指すべき将来像や観光振興の在り方などについて意見交換。観光マスタープランの方向性などについて協議した。

 マスタープランは、奄美群島の自然環境の保全と活用や文化の継承を図りながら、持続可能な観光振興を目指すことなどを目標としており、世界自然遺産登録などの効果を、群島全体に波及させるための観光に特化した基本計画。計画期間は2024年度~33年度の10年間で、奄美群島広域事務組合が策定主体となり、今年度末までにプランをまとめる予定としている。

 プランでは「奄美群島の観光の目指す姿の実現に向けた取り組み」として、▽地域ブランディングの強化▽地域資源や観光拠点の魅力向上▽魅力的な人材の発掘・育成や体制整備▽情報分析と成果の活用▽群島内外の移動の利便性向上▽隣接地域(沖縄・屋久島)との連携強化―の6項目を具体的な施策と位置づけ、それぞれの項目について、有識者らの意見、提言を受けた。

 会議には、鹿児島大、琉球大、熊本大、文教大の特任教授や准教授、助教らが参加。それぞれの専門分野の視点から、奄美群島の観光の目指すべき将来像などについて指摘した。

 琉球大の神谷大介准教授(土木・交通)は「観光客を増やすだけでなく、質向上で観光消費額を増やす取り組みも必要」と述べ、鹿児島大の藤枝繁特任教授(海洋環境・水産学)は「群島の人たちだけでなく、観光客が奄美に何を求めているのか、島外からの視点も大切」などと意見した。

 また、熊本大の新里亮助教(文化財・考古学)は「奄美の文化歴史で最も輝いていた古代から中世の時代にもっと注目する必要がある」などと話した。

 今後は各島に設置された分科会や有識者会議での議論なども踏まえ、来年3月をめどにマスタープランの策定を目指す。