カイガラムシ被害対策 県、リーフレット作成

県が作成したソテツのカイガラムシ被害対策リーフレット

「みんなで守ろう!奄美のソテツ、奄美の宝」
住民周知へ市町村にデータ提供

 多くのソテツ科植物に加害する外来カイガラムシ(アウラカスピス・ヤスマツイ=英語表記の通称CAS〈キャス〉)被害は昨年10月から奄美大島内での拡大が続いているが、県は被害対策リーフレットを作成した。住民に周知してもらおうと島内の5市町村にデータを提供、「奄美のソテツが危ない!」「みんなで守ろう!奄美のソテツ、奄美の宝」を掲げている。

 大島支庁林務水産課によると、県森林技術総合センターが9月末に作成したもの。奄美大島でのCAS被害は国内で初めての確認となったが、その後、沖縄県でも確認されている。ソテツの葉や幹に寄生・吸収。吸収された葉は黄変し、被害が激しい場合は枯死に至る。

 県の発表では、昨年10月に奄美市の名瀬市街地周辺でCAS被害が発生。今年9月現在、龍郷町へ拡大し、その他の地区において「局所的に被害発生」としている。対応として被害葉の除去と薬剤散布(繁殖抑制)による被害拡大防止を呼び掛けている。

 作成されたリーフレット(A4サイズ表裏両面)は、▽葉の裏面や付け根に白いカイガラムシが多数付着▽激害になると、葉が黄白色になって枯れる(自然の葉は垂れて枯れるのと異なり、葉が立ったまま枯れる)―といった被害の特徴を写真で分かりやすく掲載。対策については▽カイガラムシの付いた葉は切除し、被害葉が少ない場合は焼却するか、ビニール袋に入れてごみに出す、被害葉が多い場合は葉を現場で集積し、葉が露出しないようシートなどで全体を覆う▽葉の処分後はソテツ全体に薬剤を散布。その後もこまめに観察し、再発生したら追加散布を行う―を挙げ、主な登録薬剤や使用方法も掲載している。他の地域への被害拡大を防ぐため、奄美大島からソテツを持ち出さないことに協力を求めている。

 昨年秋の国内初確認を受けて奄美市や龍郷町は県作成のデータを活用してチラシを作成、各世帯に配布する取り組みが見られたが、今回作成したリーフレットデータの活用方法(住民への周知方法)については市町村の判断となる。道路沿いや公園など公有地に植栽されたソテツは対策が進められているが、民間への浸透がポイントだけに住民周知の徹底が求められそう。