ダイサギソウ相次ぎ盗掘か

ダイサギソウが根ごと掘り返された跡(提供写真)

伊仙町の群生地に自生するダイサギソウ(提供写真)

伊仙町で3株 絶滅危惧種、回復の矢先に
虹の会「絶対にやめて」

 【徳之島】伊仙町で、絶滅の恐れがある希少種のダイサギソウの掘り返された跡が相次いで見つかった。自主的にパトロールを行うNPO法人徳之島虹の会が、先月22日に1株、今月6日に2株の計3株がなくなっているのを確認。ダイサギソウは徳之島3町の保護条例で採取が禁じられており、同会の美延睦美事務局長は「希少種は島、世界の宝。違法行為で絶対にやめてほしい」と強く訴えている。

 同会によると、22日と6日の両日、町内の群生地で純白の花を咲かせたダイサギソウ計3株が根ごとなくなっているのを巡回中の会員が見つけた。花は今が開花期で、9月12日と18日にパトロールした際は異常がなかったという。会は先月30日にも現地を訪れて状況を確認。町と環境省に被害を報告した。

 美延事務局長によると、徳之島の自生地は開発や荒廃、除草剤散布の影響などで激減し、今は数か所のみが確認されている。一方、数年前からは町と協力し、定期的な見回りや周辺の除草に努めたりと管理を強化。一部では回復も見られ、株数が増えつつある矢先だったという。

 昨年、同会が確認したダイサギソウの盗掘被害はなかった。日当たりの良い草地に自生するダイサギソウの数が増え、人目に付きやすくなったことが裏目に出たとみている。

 美延事務局長は「保全活動の成果が報われたと喜んでいる最中に相次いで盗まれ、非常に残念でならない」と話し、「野生植物は持ち帰っても管理が難しく枯らすことも多い。草木は生えている場所が楽園。仮に見つけた場合でもそっと楽しんでほしい」と呼び掛けている。

 今後は関係機関と相談し、パトロールを強める方針。監視カメラの設置も検討していくという。

 ダイサギソウはラン科で、千葉県以西~九州、奄美大島と徳之島で育つ地生ラン。純白の花がシラサギの飛ぶ姿に似ていることが由来で、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に分類されている。保護条例に違反した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。