山田長満奨学会が奄美群島出身者へ特別枠

奨学生の交流会で意見を交わしたメンバーたち(コロナ禍直前に開催されたOBOG会=いずれも提供写真)

(公財)山田長満奨学会の山田長満理事長。19年5月には「旭日中綬章」も受章している

 

月額12万円を給付
31日締め切りの半年型も

 【東京】「公益財団法人山田長満(おさみつ)奨学会」がこのほど、奄美群島出身者に向けて特別枠を設けることを発表した。三十年以上の歴史の中では初めてのこと。設立者は、多くの学生に応募してもらい、未来の人材として担ってほしいと語っている。

 同奨学会は世界平和と経済成長に貢献する人を育成し、人々の幸福に寄与することを目的として1989(平成元)年、10月1日に徳之島出身の山田長満さん(76)によって創設された。47(昭和22)年10月1日、天城町松原生まれの山田さんは、同町立北中学校卒業後、上京。都立新宿高校、日本大学、慶応義塾大大学院で学びその後、税理士、宅地建物取引士、行政書士として奮闘してきた。「新宿高校の文化祭で『広島長崎の写真展』を見て戦争の悲惨さを実感。いつか世界平和を目指す人材育成をしたかった」と誓ったのが、「山田長満奨学会」のきっかけになったという。

 やがて幾多の苦難を乗り越え、会社経営者、税理士法人、大学理事、川崎商工会議所会頭などに就く。青年はしわを重ねて要職を歴任してきたが、文化祭で胸に刻んだ少年の志は変わらなかった。

 奨学生の募集人員は大学生、大学院生計5人。全15人のうち、5人を対象に奄美群島出身者へ向けて特別枠を設けることになった。期間は12か月(2024年4月から25年3月31日)で月額12万円を給付するもの。毎月第2金曜日に同財団で開催される交流会で、奨学生に現金で支給される。応募資格は、本人または父親・母親が奄美群島出身者であること。他の提出書類は、同財団のホームページからダウンロードすることになっている。

 「海、山、古里の風景や思い出は尽きないが、何でも助け合ってきた『結いの精神』が僕を支えている」と語る山田さん。また「他の奨学生との意見交換を通じて、刺激を受けて、さらに勉学に励んでもらいたいのです」と現物支給の狙いを明かした。

 今回、この制度に10月1日から24年3月31日までの6か月のものを設置した。出願期間は、31日まで。一次選考は11月5日、12日の二次選考を経て、最終結果は同15日に通知される。奨学金は10月にさかのぼって支給される。