奄美書道協会講習会

緊張した面持ちで杉板に筆を下ろす参加者(8日、名瀬公民館金久分館)

初の試み、杉板に好きな言葉を

奄美書道協会(南隆光(りゅうこう)会長、会員40人)は8日、奄美市の名瀬公民館金久分館で書道講習会を開いた。一般参加を含む29人の書道愛好家が杉の板に好きな言葉を書く初の試みに挑戦した。

指導したのは日展で数々の入選歴を持つ池田光遊(こうゆう)さん(64)。2015年から4年間、大島高校書道部の顧問を務め、現在は樟南高校教諭。南日本書道会審査員なども務めている。

同会は、市美展、文化祭を前に講師を招き年2回の講習会を開催している。今回の講習会は11月1日から開催される第45回奄美市民文化祭を前に行われた。

会場には池田さんが書いた3文字、4文字の書が掲示され、参加者はその中から好きな言葉を選び、1時間ほどかけ練習を重ねた。 杉板へ筆を下ろす際は、書き直しがきかないため全員が緊張した面持ちになった。

「氷雪水」(雪や氷のように澄み切った心)と書いた中西里美さん(70)は書道歴半年。「文字が表す意味と同じように書けた」と満足した様子だった。

安原憲昭さん(81)は18年の市美展賞受賞者。「行雲流水」(時は常にうつろう。成り行きに任せて行動する)と書いた。「板に書くのは初めてだが、表面が滑らかで筆の滑りも良かった」と話した。

奄美看護福祉専門学校講師の一瀬(いちのせ)いつ子さん(74)が選んだ言葉は「自在心」(心が自由であること)。「書道歴は浅いが、書に向き合う時間は気持ちが静かに整う」と話した。

池田さんは「書道をする人は発表の場が年に数回しかない。今回の試みで書道の輪が広がっていけば」と期待を述べた。