県内農地中間管理事業

和泊町が県内最多
転貸面積の実績

 

 

 県内の荒廃農地面積は全農地の約1割を占める中、農地中間管理機構(農地バンク)による事業の実績をみると2022年度の転貸(又(また)貸し)面積は2092㌶で、3年連続で2千㌶を超えた。22年度末時点では九州で最も多い1万2704㌶。県内の市町村別でみると最多は和泊町となっている。

 農林水産省によると、農地中間管理機構は都道府県、市町村、農業団体などが出資して組織されている法人。都道府県知事が一つに限って指定することで「農地中間管理機構」となる。同機構が農業経営のリタイヤ、規模縮小など農地の受け手を探している農家から農地を借り受け、農業経営の効率化や規模拡大を計画している受け手(担い手農家等)に貸し付ける制度が農地中間管理事業。

 県議会9月定例会一般質問で同事業の実績、取り組みが取り上げられ、米盛幸一農政部長は「機構を経由して農地を貸し付ける地域に対する機構集積協力金や農業者の費用負担を求めず基盤整備を実施する農地中間管理機構関連農地整備事業の活用を推進している。また、市町村ごと重点推進地域を設定し、地域の関係機関や団体が一体となって事業の活用も推進している」と述べた。

 21年度の数字でみると、県内の農地面積は約12万6千㌶で、このうち荒廃農地面積が約1万4千㌶。荒廃農地のうち再生可能な農地は約5千㌶、再生困難な農地は約9千㌶。県では日本型直接支払制度(地域の共同活動を支援する多面的機能支払、中山間地域等直接支払、環境保全型農業直接支払)を活用、農地の環境保全などの取り組みを支援。また荒廃農地を含む農地の簡易な整備などの取り組みを支援している。所有者不明の荒廃農地の場合、簡易な手続きで農地中間管理機構を通じ賃借が可能となる制度の積極的な活用を進めている。

 集落や地域での話し合いに基づき地域の中心となる経営体や将来の地域農業の在り方などを定めるのが「人・農地プラン」。県は説明会の開催や相談窓口の設置、地域での話し合い活動の推進などに取り組んでいる。それにより今年3月までに735プランが策定されており、こうした地域計画を24年度末までに策定、農地中間管理機構を活用した農地の集積を進めていく。

 農地中間管理事業の実施状況で機構の転貸面積2022年度実績(奄美群島市町村別)は次の通り。

 奄美市35・7㌶、大和村ゼロ、宇検村ゼロ、瀬戸内町4・6㌶、龍郷町1・1㌶、喜界町37・1㌶、徳之島町41・0㌶、天城町20・6㌶、伊仙町27・0㌶、和泊町303・0㌶、知名町111・7㌶、与論町7・1㌶