JAあまみ果樹部会会議

選果持ち込み量の低迷で奄美大島選果場は赤字運営が続く中、農家負担額の増が議論されたJAあまみ大島事業本部果樹部会の全体会議

新たな負担金に農家難色
赤字続く選果場運営「市場出荷含め利用徹底を」

 JAあまみ大島事業本部果樹部会(大海昌平部会長)の全体会議が10日、奄美市農業研究センター会議室であった。JAが運営する奄美大島選果場は開設計画(450㌧)を下回るタンカン持ち込み量から赤字運営が続く中、農家負担額は選果料だけでなく新たな負担金をJAは提案。これに対し農家は難色を示し、負担額を圧縮していくためにも地元市場出荷分を含めて光センサーにより品質保証が可能な選果場利用の徹底を求める声が上がった。

 部会員の果樹農家のほか、市町村・県の行政関係者が出席。JAが示した2023年度計画によるとタンカン持ち込み量は共販90㌧、選果のみの委託160㌧の計250㌧を計画。収益合計734万4千円から費用合計805万2千円を差し引いた事業総利益は70万7千円の赤字で、JA特別会計で費用計上すると選果場会計損益は457万3千円のマイナスとなっている。

 この損益額を選果場計画表に伴う農家負担額(キロあたり)でみた場合、250㌧の出荷量で算出すると選果料26円(良品以上を行政が助成、農家負担なし)のほか、新たな負担金として18・3円の計44・3円を求めている。開設計画時の450㌧なら農家負担は36・2円(新たな負担金分は10・2円)に圧縮される。

 新たな負担金に対し出席した部会員から「1㌧持ち込むと行政の支援がない場合、選果経費として4万4千円を農家は負担しなければならなくなる。肥料代など資材費の上昇で経費が膨らんでいる中、新たな選果料負担増を支払うことはできない。量が多い農家ほど負担が大きい」との意見が出た。これに対しJA側は「現状では選果場運営費のマイナス分をJAだけでは吸収できない。繰り越しの欠損金分を内部で補充できる財源がない」と説明し、理解を求めた。

 農家の選果負担額は行政の支援(選果料助成)が続くことを前提に当面はキロあたり30円になる。選果場は奄振事業を活用し行政の施策として整備されたことから、選果助成の継続を農家は求めている。

 持ち込み量を増やすことで負担額を圧縮できるが、「市場の仲買人の中には『選果場を利用した方が品質面で安心できる』という受け止めがある。市場(名瀬中央青果)出しを含めて選果場利用を継続して呼び掛けていく取り組みが必要」との意見のほか、ルールづくりまで踏み込むべきとの意見も。選果場はタンカンの奄美ブランド確立を目的に整備されたことから「原点に立ち返りブランド化を実現していくためにも島内島外出荷にかかわらず、選果窓口の一元化をルールによって徹底を」との指摘があった。