世界遺産連絡会議・奄美大島部会

県大島支庁で開かれた世界自然遺産地域連絡会議・奄美大島部会

外来動植物に警鐘
奄美市は〝観光税〟検討

 国、県、奄美大島5市町村や民間の自然環境団体などで構成する「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産地域連絡会議」の奄美大島部会など2部会が11日、県大島支庁であった。開催は4年ぶりで、関係者約70人が出席。地域ごとの行動計画の進捗(しんちょく)状況について報告があり、外来動植物の防除などについて活発な意見が交わされた。

 同連絡会議は、世界自然遺産地域の保全・管理を推進するため2016年に設置。同時に奄美大島、徳之島など四つの地域部会が設けられた。会議は、適切な保護事業や緩衝地帯の保全などについて出席者の意見を聞く場となる。

 行動計画の進捗状況について、アマミノクロウサギやアマミヤマシギのモニタリングの実施(環境省、奄美野鳥の会)▽外来カイガラムシの防除(環境省、各市町村)▽湯湾岳の利用調整(同、宇検村、大和村)―などが報告された。

 23年度新規事業として、▽ハネナガチョウトンボの保全活動(奄美野鳥の会)▽特定外来生物の侵入調査(県)▽シロアゴガエルの生息状況調査(環境省など)▽アメリカザリガニの防除(同)▽ロードキル(交通事故)対策(同)▽高付加価値なインバウンド観光地づくり(同)―などが示された。

 奄美市は、自然遺産の恒久的価値を維持するための「財源創設検討委員会」を立ち上げ、法定外税や協力金を求めるなど財源確保の検討に入ると報告した。

 参加者からは、5月に徳之島で定着が確認されたシロアゴガエルの奄美大島への侵入について、「水際対策はあるのか」などの質問もあった。環境省は、「港周辺の主要な水場の調査は継続しているが、バケツでも繁殖できる」と警戒を呼び掛けた。

 野外で増えた外来植物の防除に在り方について「手に負えないレベルに達している。予算化して早く取り組んでほしい」といった声も聞かれた。

 ネイチャーガイドの一人は、「外来種のアカギは山中に侵入している。モクマオウは北部の砂浜を侵食している。リュウキュウアユも河川工事の影響で繁殖地がなくなっている」と話し、「手をこまぬいているうちに、マングースの轍(てつ)を踏むことになる」と警鐘を鳴らした。