供給体制検討会

血液製剤供給体制検討会は激しい議論になる場面も(17日=奄美会館)

日赤との協議平行線
血液備蓄所再設置要求も 「費用負担重すぎる」

 2018年4月に廃止された血液備蓄所の再設置などを議題に「奄美大島における血液製剤供給体制検討会」が17日、奄美市名瀬の奄美会館で開かれた。県、大島郡医師会、県赤十字血液センター、5市町村の保健担当者など関係者約20人が意見交換した。県立大島病院内に備蓄所設置を求める意見に、血液事業を担う日赤側は「費用負担が重すぎる」と難色を示し、議論は最後までかみ合わなかった。

 血液製剤とは、献血した血液を利用して作られた医薬品。大別すると「輸血用血液製剤」と、血液の病気の治療などに使われる「血漿(けっしょう)分画製剤」(アルブミン製剤など)に分類される。

 輸血用血液製剤(全血製剤、赤血球製剤)の有効期日は採血後21日間、血小板製剤は4日間と短く、安定供給の確保が課題となっていた。

 県立大島病院では、県赤十字センターからの供給が間に合わない場合、「緊急時供血者登録制度」により院内採血の〝生血〟を使用している。同病院麻酔科部長・大木浩医師は「常に綱渡り状態」だとして、郡医師会とともに血液備蓄所の再設置を訴え続けてきた。

 6月県議会では、くらし保健福祉部長が「血液の安定供給の責務を有する県赤十字センターに必要な対応を求める」と答弁。同時に、約6千万円の開設費、年間5千万円の人件費などが課題と答えている。

 関係者は、「日赤側が難色を示すのはコスト面に加え、奄美で備蓄所を作ることで、徳之島などほかの離島にも波及すること」と話す。「高速船で約1時間の佐渡島、橋でつながっている淡路島とは置かれる環境が違う。命の問題」と話す参加者も。

 「県立病院局、くらし保健部、5市町村、名瀬保健所も備蓄所設置に肯定的。後は日赤が(厚生労働省に)申請すれば本格化する」と大木医師。

 稲源一郎・郡医師会会長も「(費用面の)工夫の方法はある。ニーズがあるのも分かっている。市民に窮状を知ってもらい、声を上げてもらいたい」と話した。