森林環境と希少生物の関係知ろう

ドングリの豊凶モニタリング調査に協力(提供写真)=18日、天城町松原


世界自然遺産登録エリア「天城岳」の麓で樟南二高生たち(提供写真)

世界自然遺産「天城岳」初調査も
樟南二高生 ドングリ豊凶調査に協力

 【徳之島】国立研究開発法人森林研究・整備機構の森林総合研究所が2015年以降、奄美大島・やんばる・徳之島で継続の「中琉球におけるドングリ豊凶モニタリング調査」に18日、徳之島・天城町の樟南第二高校(牧園弘光校長)の普通科1・2年生16人が加わった。世界自然遺産エリアを含む天城岳(533㍍)周辺の初調査に協力。希少生物との共生、生態系保全の大切さを再認識しあった。

 堅果類「ドングリ」の豊凶現象は様々な生き物の生活に影響を及ぼすことが世界的に注目されている。かつて一つの島を形成した奄美大島・徳之島・沖縄島北部(やんばる)ではシイ・カシ類を含む亜熱帯林が広がる。「中琉球のドングリ生産量を広く継続先に把握することが、森林やそこに暮す生き物たちの保全に重要」として、地域の協力も得て15年(徳之島は18年)から調査を継続している。

 23年度は公益財団法人JAC環境動物財団助成事業の「中琉球におけるスダジイどんぐり豊凶調査の持続可能なモニタリング体制の構築」で推進。琉球大学与那フィールドと連携したイベントや、やんばる・辺土名高校、奄美大島・大島高校などの協力も得た。そして今回から新たに徳之島・天城町の樟南二高も参加。同島第2の主峰「天城岳」関連の初調査ともなった。

 講師は、同研究所九州支所・森林動物研究グループ主任研究員の小高信彦さんが担当。生徒たちはまず、室内座学で絶滅危惧種の希少固有種が多く生息する中琉球、世界自然遺産の価値、ドングリを餌とするトゲネズミ類やリュウキュウイノシシど哺乳類の食性などを学習。双眼鏡の操作や調査マニュアルなどを学びスクールバスで調査へ。天城岳周辺3地点のスダジイ(イタジイ)やアマミアラカシ、日本一大きなドングリをつけるオキナワウラジロガシを対象に挑戦した。

 約3時間の特別活動後、生徒の清水雅さん(1年生)は「徳之島の山中に入ったことがなかったが、ドングリ豊凶調査はとても刺激的な体験に。昨年は豊作で今年は少ないと森林の現状も分かった。島の森林環境の現状を知る手がかりになってくれたらうれしい」。

 川本彩嘉さん(同)も「世界自然遺産登録地域の調査は貴重な体験に。ドングリについて学ぶ機会や観察機会もなかった。豊凶モニタリング調査でドングリの生産量の増減やドングリを食べるリュウキュウイノシシ、アマミノクロウサギなどの生き物との関連も学べた。来年も調査に協力したい」と話していた。