空港のある地域会議 徳之島で初開催

徳之島で初開催された「空港のある地域2023徳之島会議」(20日、徳之島町)

点から線の交流
「南への視点」も重要

【徳之島】奄美群島日本復帰70周年記念関連事業「空港のある地域2023徳之島会議」(全国空港のある地域連絡協議会主催)が20日、徳之島町文化会館会議室であった。同島出身の事業家らをパネリストに「人と人のつながり 徳之島コーヒーが結ぶ関係交流」などの発表を通じ、空港がある地域の発展を語り合った。

NPO地域交流センター・全国空港のある地域連絡協が、奄美空港―本土間でLCC(格安航空会社)が就航した2014年から継続している。奄美群島では9回目で徳之島では今回初。同島空港利用促進協議会長の森田弘光天城町長や町議、観光連盟、住民有志らが自主参加し、鼎談(ていだん)形式で意見交換した。

コーディネーターはNPO地域交流センター理事で、全国空港のある地域連絡協の赤崎隆三郎事務局長が担当。パネリストには▽千葉県成田山道の近くで空き家利活用事業なども展開する建設・不動産業「成田エコハウス㈱」代表の稲村修治さん(65)=伊仙町木之香出身▽同県東金市で障がい者グループホームを起業し、農福連携による就労支援にも取り組んでいる「㈱夢のカタチ」代表の二階堂すみ子さん(57)=天城町西阿木名出身=を招へいした。

稲村さんは「老人ホームなどを含め、島に恩返しがしたいと常に考えている。お金を持ちながら島と関わるタイミングが少なく、何か貢献をと考えている出身者たちは多い」。「徳之島コーヒー」を成田でPRする傍ら、天城町三京でのコーヒー園支援事例も紹介した。

二階堂さんは島での農業体験を通じ、有機JAS認証農業と福祉事業の連携取り組みの現状を紹介。ふるさとでのコーヒー栽培を通じた就業支援構想も含め「徳之島とつながりながら、島の良さを都会の人たちに経験させたい」と強調した。

コーディネーターの赤崎さんは「島に恩返しがしたいのが共通点。多くの出身者たちを知って互いの〝点〟が〝一本の線〟につながることも大事」と指摘。観光面では「世界自然遺産登録で奄美大島と沖縄の名は出てくるが、残念ながら徳之島と西表島は一切出てこない。空港を活性化しないと地域の活性化はない」とも述べ、LCCやチャーター便模索など「南への視点」をアドバイスした。

森田町長も「徳之島3町長で長年、直行便の開設を要望しているが、残念ながら実現しない。民間を含む草の根活動で地域を盛り上げたい」とし、「沖縄には年間1千万人が訪れハワイ観光を超えた。『沖縄の北』としての与論・沖永良部島・徳之島をPRすべき。農産物の需要も高いと思う」と同調。一般参加者からは「われわれはこれまで北へ北へと向かってきた。これを機に、南に視点を移す必要もある」との意見があった。