4年ぶり「諸鈍シバヤ」

4年ぶりに開催された「諸鈍シバヤ」の締めを飾った演目「高き山」

加計呂麻島 大勢の観客楽しむ
多彩演目とユーモラス動作

 クガツクンチ(旧暦の9月9日)の23日、瀬戸内町加計呂麻島・諸鈍集落の大屯(おおちょん)神社で国指定の重要無形民俗文化財「諸鈍シバヤ」があった。新型コロナウイルス感染症の影響で、2019年以来4年ぶりの開催に、会場には多くの観客が訪れ、次々と繰り広げられる演目を楽しんだ。開会にあたり、諸鈍集落会の德元(とくはじめ)会長(66)は「開催できなかった3年年間は集落の活気もなく、今回の開催は本当にうれしい。高齢化により今後の継承には、皆さんの支援と協力が必要」などとあいさつした。

 諸鈍シバヤは、源平の戦いに敗れ落ち延びてきた平資盛(たいらのすけもり)一行が、土地の人々と交流を深めるために伝えたのが始まりといわれている。1976年に国の重要無形民俗文化財に指定された。

 第1部は、演者らがホラ貝やハト(指笛)を鳴らし踊りながらの「イッソウ(楽屋入り)」で幕開け。「スクテングワ」では、2列に並んだ演者が飾りを付けた棒で激しく打ち合い、飾りが舞う姿が観客を魅了。諸鈍小中の児童生徒たちも「キンコウ節」などに参加し、会場を盛り上げた。

 第2部は、イノシシとの格闘を模した「シシキリ」で開始。鎌を持って踊る「カマ踊り」や人形劇「タマティユ(玉露)」など、多彩な演目とユーモラスな動作が会場を笑いに包み、「高き山」で締めくくられた。

 保存会の吉川久也会長(52)は「国の指定文化財だが、自分たちにとっては欠かせない集落の一行事。残したいと思っているメンバーと、これから守っていきたいと思ってくれる子どもたちで、頑張って守っていきたい」と最後にあいさつした。

 23年前に大阪から夫婦で集落に移住してきた椎原満智子さん(83)は「3年間楽しみに待っていた。天気にも恵まれ楽しく過ごせている。7年前に亡くなった天国の夫に『諸鈍シバヤが開催できてよかったね』と報告した」と4年ぶりの開催を楽しんだ。