ピーチ冬ダイヤ 関西線、3か月運休

今月29日から季節運航となるピーチ路線。奄美2路線では関西線の影響が大きい

「来島客の減少つながる」
奄美市、要望活動検討

LCC(格安航空会社)ピーチ・アビエーションは今月29日からの冬ダイヤで季節運航に乗り出し、奄美関係2路線のうち大阪(関西)線は同日から2月8日まで3か月間運航なし(運休)となる。冬場の観光客のほかスポーツ合宿の学生、年末年始の帰省客など影響は必至で、「官民あげて地元の実情を会社側に伝え、改善の働き掛けを」との声が出ている。

元県議で現在、県ホテル旅館生活衛生同業組合副理事長を務め、地元の観光物産連盟や観光協会の顧問・相談役でもある向井俊夫さん。議員時代から観光・航空路問題をライフワークとして積極的に取り組んできたが、関西―奄美線の運休について「もろに響く。季節運航の理由にインバウンド(訪日外国人)需要への対応を挙げているが、外国人観光客の増加の恩恵を奄美は受けていない。減便となっても他の路線で集客できればいいが、LCCは若い人などの利用がかなり多いだけに来島客の減少につながるのではないか」と厳しい見通しを示す。

冬場の需要にスポーツ合宿がある。自ら先鞭(せんべん)をつけ行政とともにキャンペーンなどで誘致、受け入れ環境の整備も図ってきた。向井さんは「大学生などは運賃が安いLCCを利用してきた。関西からの合宿減など影響は避けられない。また、この時期は受験シーズンでもある。奄美から関西方面の大学などへの進学を目指す受験生にとっても痛手」と指摘する。

懸念するのが、こうした影響が予想されるのに地元の動きの鈍さ。「世界自然遺産に登録されたことで、黙っていても観光客が来島するという認識があるのでは。会社側の方針を黙認するだけでは、運休や減便など季節運航が今後も続く可能性がある。観光関係の団体は危機感を持ち与える影響を実態として把握した上で、行政と連携して会社側に要請や要望といった活動を進めていくべき」。向井さんは行政の後押しを受けての民間の主体的な取り組みを求めている。

奄美市紬観光課の赤崎広和課長は「LCCが就航して来年で10周年を迎える。路線の運休が続くと観光客などが来島できず足止めされるだけに、継続的な運航へ要望活動を進めたい。また、関西からの冬場の集客に向けた取り組み(イベント開催)も受け入れる側として考えたい」と語った。

ピーチ広報によると、関西線は2月9日~3月31日は週3(月曜、水曜、金曜)往復に。東京(成田)―奄美線は、年末年始期間(12月21日~1月8日)を除き、今月29日~2月29日までは曜日運航となる。運航するのは月曜、木曜、金曜、土曜、日曜の週5往復。年末年始と3月1~31日は毎日1往復の通常運航する。