徳之島町で地区自治公民館経営研究会

活動事例発表や講演で今後の自治公民館活動の在り方を考えた研究会(円内は講師の金子陽飛氏)=27日、徳之島町生涯学習センター

地域人材の有効活用を
新たな「LET」活動提言も

 【徳之島】2023年度大島地区自治公民館経営研究会・徳之島町自治公民館連絡協議会研修会が27日、「これからの地域コミュニティの在り方」をテーマに徳之島町生涯学習センターであった。同町亀津北区自治会の幸多勝弘会長(72)が事例発表し、「全国初の高校生町内会長」と話題を呼んだ鹿児島市唐湊(とそ)山の手町内会の金子陽飛会長(20)が講演するなど、新時代への自治公民館活動を考え合った。

 奄美群島社会教育振興会と大島地区公民館連絡協議会が主催。社会情勢や価値観の急激な変化、家庭や地域の教育力の低下、人間関係の希薄化が進む中、公民館や地域の活性化を図るのが目的。10町村の関係者約50人が出席。地区公民館連絡協の遠藤智会長らがあいさつし、人口減少社会で地域や学校が連携した新時代への取り組みに期待した。

 幸多会長のテーマは「持続可能な『つながりをつくる』活動―障がいのある人もない人も共に学び育ち合う集落をめざして」。奄美群島の日本復帰運動でのろしを上げた先人・為山道則氏(亀津南区出身)の歴史や高齢化率、人口流出の現状なども解説した。コロナ禍にあっても歩み・学びを止めない多彩で活発な「地域・学校協働活動」も紹介。その上で「子どもを真ん中に輝く未来の創出、奄美の島々に連綿と息づく『ゆい』の協働の精神の伝授が大切」と呼び掛けた。

 ベンチャー企業役員やまちづくり・地域づくりアドバイザーなどを務める金子会長の演題は「町内会長就任…そして実践へ―みんなが活躍できる地域を目指して」。町内の3分の1が75歳以上となって夏祭りなど行事も軒並み消滅し、行事も各種委員会出席と清掃だけとなり、町内会長がなかなか決まらない中、高校生で「自分がやります」とその場の空気を一変させたエピソードも紹介した。

 就任して全世帯をあいさつ回りして気付いた「物事を立体的に見ることが大事。地域にはたくさんの個性(人材)があった」。「3G(我慢・義務・犠牲)にまみれた町内会」から、「LET(LOVE=他者の喜びは自分の喜び、ENJOY=みんなが楽しめる活動、THANKS=さまざまなものや人に感謝の心)」への転換を強調し、「分断化が進む地域社会においては相互扶助機能を内在する自治組織の重要性は増加している」と強調した。