ブラジルからの県費留学生94人受け入れ

ブラジル鹿児島県人会によるジャパンハウス・サンパウロでのPRイベント報告書

県人会担う人材期待
奄美の特産品PRイベントも

 鹿児島県から海外に移住した人たちの子弟を県内の大学に留学させ、母県(鹿児島県)の実態を周知させるとともに、県と移住先国との緊密化に貢献する人材を育成するのが「県費留学生制度」。国別ではブラジルが最も多くこれまでに94人を受け入れている。今年8月には「ブラジル鹿児島県人移民115周年およびブラジル鹿児島県人会創立110周年記念式典」が開催され、奄美からも参加があった中、留学生は式典運営に深く関わるなど今後を担う人材として期待されている。

 式典には塩田康一知事、松里保廣議長をはじめとした県議を含む6市町村の首長などのほか、経済界の代表など約35人が訪問団として参加。出身者との交流を促進している宇検村からも職員などが参加した。

 関連イベントとしてジャパンハウス・サンパウロ(外務省の対外発信拠点)で「Kagoshima Gourmet Night(かごしま ぐるめ ないと)」が開催され、同県人会が報告書でまとめている。それによるとイベントでは世界自然遺産に登録された奄美の文化PRの場も設けられ、シマ唄ライブや塩田知事も着用しての大島紬PRも行われた。食の紹介では黒糖焼酎も振る舞われた。

 式典や関連イベントは県議会9月定例会でも取り上げられ、塩田知事は「日系人の先輩方がブラジルの農業の基礎を築いたこと、今日のブラジル社会において日系人がさまざまな分野で活躍し高い評価を受けていることなど深く敬意を表すとともに日本人として大変誇りに思う」と述べ、記念式典で県人会への感謝状贈呈、県費留学生・海外技術研修員OBとの意見交換会や県人会との懇談会、県産品PRイベント参加、今後の県人会を支える3世・4世の若い人との交流などを報告。知事は「今後もこうした取り組みを継続的して行うことでブラジル鹿児島県人会との交流の絆をさらに深めるとともに、本県とブラジルとの人的交流や貿易等の発展につなげたい」との考えを示した。

 観光・文化スポーツ部国際交流課によると人的交流の状況で、受け入れているのは県費留学生のほか、海外技術研修員(これまでの実績44人)。同部の悦田克己部長は議会答弁で「県費留学生たちは帰国後、さまざまな分野で活躍しており、ブラジル県人会を担う人材となっている。今後ともブラジル県人会の若い方々が、ブラジル社会で活躍できるよう県費留学生と海外技術研修員を継続して受け入れるとともに、留学生たちが帰国後、本県とブラジルとの交流の〝架け橋〟となり人的交流や経済交流がさらに進むよう尽力していただきたい」と述べた。

 なお、県費留学生の受け入れ実績(2022年度現在)でブラジル以外はアルゼンチン20人、ペルー30人で、ブラジルからが全体の6割以上を占めている。