JAF鹿児島支部と環境省奄美野生生物保護センターによる「奄美ゼロードキルプロジェクト」の第一歩としてアンケートが進められている(QRコードから回答できる)
国の特別天然記念物アマミノクロウサギの奄美大島での交通事故件数は2022年(1~12月)に107件と過去最多となったが、今年に入っても増加、環境省まとめでは10月末現在で112件と2か月を残し既に前年を上回り、更新している。歯止めが掛からない中、奄美大島での「ロードキル」(道路上で発生し車が関係する希少動物など野生生物の交通事故)ゼロを目指し、JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)鹿児島と環境省による「奄美ゼロードキルプロジェクト」として1日からアンケート調査が進められている。会員などからの回答によってロードキルの認知度や改善策を探る。
JAF鹿児島支部(藤村浩二事務所長、支部内会員約22万7千人)は今回の取り組みについて「JAFはロードサービスや交通安全活動などを進めているが、動物の命も救いたい。特に生息数が少ない希少動物の事故を防止したい」と説明。同省奄美野生生物保護センターとオンラインミーティングを重ねたところ、ロードキルに関するデータ(いつ、どこで、誰が起こしているのか等)が不足していることが明らかになり、プロジェクトの第一歩としてアンケートを行うことになった。
アンケートへの回答は同支部のホームページからでき、▽JAF会員▽会員以外の島民▽会員以外で奄美大島以外に居住者―に分けている。回答者全員に奄美オリジナル画像(スマホの壁紙用、環境省提供の希少種)をプレゼント、さらにJAF会員なら抽選で5人に鹿児島市にある奄美の里提供の黒糖菓子などの詰め合わせが当たる。アンケート期間は12月31日まで。約2~3分で済むという。集まった回答は共有し今後のプロジェクトで活用するが、全国規模の調査となることから2千人からの回答を目標にしている。JAFや環境省は「1月中にはまとめ回答結果を公表する予定。初めての試みであり、多くの方の回答をお願いしたい」と呼び掛けている。回答にあたりアンケートではロードキルやクロウサギに関する説明も添え、取り組みの意義が理解できるよう工夫している。
クロウサギの活動が活発になり交通事故がより多く発生するのが秋期。瀬戸内町や大和村では国道や県道といった一般道でもロードキルが発生している。環境省では、今年は「奄美・徳之島の夜はスロードライブ」をキャッチコピーに、ドライバーに夜の安全運転をパンフレットなどで啓発しているが、ロードキル件数の減少にはつながっていない。JAFによると暗い夜間は感覚的にスピードを出しやすいという。鹿児島支部は「ハイビームやロービームによる車のライトの使い分けと、動物の飛び出しなどを予測する『かもしれない運転』の実践でスピードを落として」と指摘する。