喜界町中里 4年ぶり「ソーミンガブー」

4年ぶりに夜空を舞うそうめんを奪い合う住民たち

 

 
夜空を舞う縁起物に住民殺到

 

 集まった住民がそうめん(乾麺)を取り合う「ソーミンガブー」が2日夜、喜界町の中里集落(得田喜代治区長、約300世帯720人)であった。新型コロナウイルスの影響で開催は4年ぶり。集落内外から集まった住民や見物人らがご利益(りやく)を求め、夜空を舞う600束のそうめんを奪い合った。

 旧暦9月の壬戌(みずのえいぬ)に祖先をまつるウヤンコー(高祖祭)の3日目に行われる伝統行事「島遊び」の一つ。その日の内にそうめんを食べると無病息災が約束されると伝えられている。

 貧しい暮らしの中、住民同士が食べ物を分け合ったのが発端とされ、100年以上にわたって受け継いでいる。他人のそうめんの強奪も許されるという珍妙なルールも相まってか、日本の奇祭の一つとされている。

 この日は、集落内の保食神社で神事を執り行い島遊びは幕を開けた。八月踊りや豊年相撲奉納の後、午後7時に争奪戦が始まった。

 やぐらの上からそうめんが投げ入れられると、住民らは我先にと縁起物に手を伸ばして殺到した。手にした住民らは六調を踊って歓喜。老若男女が入り乱れながら、約15分間の争奪戦を楽しんだ。

 今年は帰省者も多く、例年以上に人出は増えた。得田区長は「4年ぶりとあってか島外でも反響は大きかった。一にも二にも集落の健康が第一。1年の無病息災を願いながら来年に向けて頑張りたい」と話した。

 19日は、子どもたちが童謡などを歌いながら集落巡って餅や菓子をもらう島遊び「フユンミー(冬折目)」も行う。