世界自然遺産・徳之島部会

住民への普及啓発、国県町の情報共有・連携強化が求められた世界自然遺産・徳之島部会(7日、天城町役場で)

対策の「B」評価返上へ
普及啓発と連携強化を

 【徳之島】2023年度「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産地域連絡会議」徳之島部会と、奄美群島世界自然遺産保全・活用検討・自然利用部会(県主催)が7日、天城町役場であった。世界遺産委員会の要請事項対応状況などモニタリング評価で計画見直しなどが望まれる「B」判定が目立つ点で、民間団体代表からは「普及・啓発不足」、行政機関同士の「情報共有・連携不足」を指摘する意見もあった。

 県自然保護課や環境省、徳之島3町、自然保護団体など関係機関・団体から約50人が参加(オンライン含む)。自然遺産保全への「徳之島行動計画」の進捗(しんちょく)状況や、世界遺産委員会の要請事項①観光管理②ロードキル(交通事故死)対策③河川再生④森林管理―への対応状況などについて報告、意見交換した。

 質問・提言は自然保護団体に集中。侵入・定着が確認された特定外来種シロアゴガエルの駆除や、アマミノクロウサギのロードキル対策など住民への意識啓発の在り方で徳之島虹の会の関係者は、「(各町)防災行政無線などを使った定期的な普及啓発が必要」とし、徳之島町が同町花徳に整備中の観光拠点施設に関しても「(専門ガイドなど)人材育成も並行すべき」との提言があった。

 クロウサギのロードキル対策で県が徳之島町北部の県道(花徳浅間線)にこのほど設置した侵入防止柵(延長500㍍)に関し、同島エコツアーガイド協議会長からは「場所(事故頻発地点)が違っている。地元の意見は全く聞いていない。民間の情報も聞くべき」と指摘。県側は環境省と協議したと説明した。

 モニタリング計画に基づく21年度評価結果(環境省報告)で同島はクロウサギのロードキル対策やイヌ・ネコによる捕殺対策、飼い猫管理のマイクロチップ装着・室内飼養などの面で「B」評価に低迷しているとして、現状打開に向けて環境省や県および3町行政間の「情報の共有、横の連携強化」を求める意見もあった。