奄美市で青年農業者会議

管内の若手農家が活動発表した大島地区青年農業者会議

若手農家の新たな挑戦に学ぶ
3氏が先進事例発表

2023年度大島地区青年農業者会議が13日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。会員や行政の参加者約40人は、子牛の飼料給与、奄美初のバニラビーンズ生産、サトウキビの6次産業化など、奄美で新たな農業経営に挑む若手農家の先進事例に学び、経営改善や農業振興への糸口を探った。

奄美大島、喜界島の農家らでつくる大島地区農業青年クラブ連絡協議会(児玉旭会長)が主催。地区内で新たに活動を始めた3氏が取り組みの現状などを発表した。

奄美市笠利町で畜産を営む野村貴徳さんは「我が家の飼料給与マニュアル定着に向けて」と題し、子牛の年齢や体重などの発育条件を加味しながら飼料を与えてきた調査成果を発表。「成長に合わせて給与することで、飼料費の低減などにつながることがわかった。今後は課題である自給飼料の確保や計画的な規模拡大に取り組みたい」と報告した。

奄美で初めてバニラビーンズの生産に着手した同笠利町の林晋太郎さんは、市場での可能性や今後の構想などを披露。加工販売拠点となるカフェも開設したことを報告した上で「バニラビーンズはほとんどが輸入に依存しており、生産体制を確立することは、付加価値の高い取り組みになる。この奄美で生産できるように頑張りたい」と力を込めた。

喜界町でサトウキビ農業での継続した雇用創出に取り組む岩下雅大さんは昨年に黒糖製造工場を立ち上げ、品種や作付け時期、温度などの項目ごとに検証を繰り返して得た実証データを紹介。「品質をコントロールする技術を整理できたことが大きな収穫。安定した味での大量生産を目指し、喜界島の黒糖で世界を喜ばせたい」と夢を語った。

質疑では、市場動向や収入の見込みなどに関心は集まった。県大島支庁農政普及課の川越尚樹課長は「技術や経営で課題が出た時、PDCAに取り組むことは自らの肥やしになる。生業とするためには決断力も必要で、試行錯誤しながら成功に導いてほしい」と総括した。