「徳之島町史」全8巻を刊行

「徳之島町史」全巻報告会で高岡町長(左)と町誌編纂審議会の町田会長=13日、同町役場
新知見も交え全8巻を刊行した

「島に誇り先人に感謝を」町誌編纂室が報告会
オールカラー・ビジュアル面重視

【徳之島】徳之島町は2018年度から進めた町誌編纂(さん)事業『徳之島町史』全巻(計7巻)を締め括る「同町史・通史編Ⅰ―先史・古代・中世・近世」と「同・通史編―近現代」の2巻を刊行。同町誌編纂室と編纂審議会は13日、町当局への全巻刊行報告会を開き、新知見も交え親しみやすいビジュアル面重視など特徴を解説。ふるさとに誇りを持ち、島の先人たちに感謝する心の育成にも期待を寄せ合った。

同編纂事業の『同町史』刊行関連ではこれまで、①同町制施行60周年記念誌(18年度)②「同町誌叢(そう)書2―同町域『農村調査』報告集」(20年度)③「同町古文書翻刻(第二集)同町手々集落 深見家ノロ文書・堀田家神役文書・宗門手札改文書・天城町岡前政家系図」(同)④「同町誌叢書3同町『民俗文献』選集」(21年度)⑤「同町史―自然編 恵みの島」(同)⑥「同町史―民俗編 シマの記憶」(22年度)を刊行。

そして今回、奄美群島日本復帰70周年記念にも絡め、⑦「同町史・通史編Ⅰ」(B5判633㌻)及び⑧「同・通史編Ⅱ」(同590㌻)をそれぞれ1千部刊行。6年をかけて全8巻を刊行(総事業費約5500万円)した。

役場であった「全巻刊行報告会」の冒頭、町誌編纂審議会の町田進会長は「ほとばしる情熱と努力で徳之島町の知的財産が完成した。町民に親しまれ愛読され、町に誇りを持つ心が芽生えることを願っている」と述べ、同2巻を高岡秀規町長に手渡した。

編纂室の竹原祐樹室長(38)がその特徴を解説。分冊刊行スタイルの採用は、手に取りやすい自治体刊行物を追求。ビジュアル面を重視し、自然編や通史編(口絵など)をオールカラーで刊行(県内自治体誌初)。全集落の海岸サンゴ礁・干瀬調査はドローン空撮も駆使。自然編の新知見としては河川域のエビ・ヤドカリ・カニなど甲殻類をほぼ網羅。近代史では「明治12年竿次(さおつぎ)帳」発見者の史料で当時の土地所有状況を分析。市町村合併(徳之島3町合併)反対など首長の〝オーラルヒストリー(口述歴史)〟手法を用いたことなどを列挙した。

50年ぶりの「町史」作成・全巻刊行に、高岡町長は「島の子どもたちが古里に誇りを持ち、先人たちに感謝をする意味でも歴史をしっかり学んでほしい。一たん都会に出ても、また戻ってきたいと思ってほしい」などと活用に期待した。

「同町史―通史編Ⅰ・Ⅱ巻」のセット価格は4840円(税込み)だが、「刊行記念」として来年3月末まで4400円(同)で販売(分売可・1冊2200円)する。問い合わせは同町誌編纂室(同町亀津、町生涯学習センター3階)。電話0997(82)2908。