22年度実績などを報告した奄美ドクターヘリ運航調整委員会
2023年度奄美ドクターヘリ運航調整委員会が13日、奄美市名瀬の県立大島病院救命救急センターであった。22年度の出動件数は前年度比19件減の232件と前年度に続き減少したものの、県本土や沖縄県などへの島外搬送が増加し、ヘリが稼働した総飛行時間は約328時間と全国平均の219時間を大きく上回った。
22年度の要請件数は前年比38件減の362件で、うち不出動が130件。17年度の523件以降は減少傾向が続いており、理由にはコロナ禍に伴う外出控えや現場救急隊の習熟度の向上が挙げられた。
一方、総飛行時間は約328時間と前年比で84時間長くなり、1回あたりの平均飛行時間も約85分と前年より27分長くなった。県本土への搬送が17件、沖縄県への搬送が5件増えたことに伴うもので、運航に関わる委員は「予算内で運用できる範囲。必要な時は運航すべき」とし、想定内とした。
ただ重複要請が出た場合、ヘリが運航中だと出動できない事態も予想される。民間救急ヘリや沖縄県を含めた効率化は急務で、県に対しては県境を越えた一元化なども視野に、「島の医療をどう守るのか。県が関与して議論していくべき」と求める声も上がった。
出動件数の内訳は現場出動73件、施設間搬送139件、出動後のキャンセル20件だった。通報で「溺れている」「刺された」など一定数のキーワードが出た場合にドクヘリが出動する「消防機関のキーワード方式採用率」は6・3%上昇したものの69・0%と依然として低く、作業部会での検証を継続し、浸透を図ることとした。
島別の出動件数は、奄美大島89件(前年比14件減)、喜界島29件(同3件減)、徳之島58件(同5件減)、沖永良部島28件(同1件減)、与論島1件(同3件減)だった。今年5月に締結した十島村との搬送協定については、十島村が主体となって各関係機関と協議の場を設けることとした。