畑かん営農推進へ

水利用の効果について考えた畑かん営農推進大会(15日、知名町フローラル館)

水利用の効果考える
知名町で県主催大会

 【沖永良部】鹿児島県主催による畑かん営農推進大会(農業・農村センスアップセミナー)が15日、知名町フローラル館であった。県内の畑かん整備地区の農家や関係機関の職員ら約160人が参加。講演や事例発表を通して水利用の効果を考えた。

 沖永良部や徳之島など県内の大規模畑地かんがい施設整備地区では、地区ごとに将来の水利用による営農活動の方向性を示す「畑地かんがい営農ビジョン」が策定されている。大会は、水利用の促進や畑かんを利用した産地育成を目的に、2日間の日程で開催される。

 初日の研修会で、県農政部の米盛幸一部長は「大会を契機に、畑かん地区の生産者や関係機関の職員らが一体となった取り組みを進め、地域農業の発展につなげてほしい」とあいさつした。

 元県職員で県内各地の農業改良普及所等で畑かん営農の推進に取り組んできた中木場修氏が講演。これまでの経験から確認できた水利用の効果として▽かん水による適期作付け▽乾燥で硬くなった土壌を軟らかくしてロータリー爪等の摩耗軽減と燃費節約▽畑かん施設利用で病害虫防除の省略化▽塩害対策―など10項目を挙げた。今後の畑かん営農の推進に向けては「関係機関が連携することで頼もしい畑かん営農になる」と述べ、「3年または5年ごとに畑かん営農の検証と課題解決の方策を検討してほしい」とアドバイスした。

 続いて、沖永良部地区における畑かん施設整備状況及び畑かん営農推進状況について、県沖永良部事務所農村整備課と農業普及課の職員が説明。昨年3月から県のホームページで提供している島内の雨量情報と土壌水分情報について「体感ではなく客観的なデータを把握することで、いつ、どの程度、かん水すればいいかの参考資料として使ってほしい」と話した。

 事例発表では、沖永良部島畑かんマイスター連絡会の大勝尚幸会長が和泊町国頭地域の営農状況を紹介。サトイモについては「温暖な気候を生かし、ほかの産地の出荷時期と重ならない。沖永良部島に向いている作物だが、土壌が乾燥すると、収量や品質が低下するのでかん水が重要になる」と話した。最後に「沖永良部はもともと降水量が少なく、近年は干ばつが多い。今までは雨待ち農業だったが、知名町に地下ダムができたおかげで水を切らすことなく農業ができるようになった。みんなで畑かんを活用して収量の上がる島にしていこう」と呼び掛けた。

 2日目は、地下ダム関連施設や施設花き(ユリ)ハウスなどを視察する。