「第1回キビ1グランプリ」で初代頂上(最優秀賞)となった喜界町の開孝行さんの発表
会場を訪れた観覧者も審査にあたり投票した
奄美群島糖業振興会(会長・森田弘光天城町長)が主催する「第1回キビ1グランプリ~さとうきび頂上決定戦~」が16日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAマチナカホールであった。奄美群島各市町村からエントリーした次世代を担う若手生産者がプレゼンテーション方式でキビ農業の魅力や課題、克服するための工夫などを発表。植え付けから収穫まで機械化一貫体系が確立されていることから副業や兼業が可能なことやドローン活用などスマート農業により適期管理で作業時間短縮・資材費削減、地域との連携などが発表され、観覧者も投票する審査により初代頂上(最優秀賞)に開孝行(ひらくたかゆき)さん(39)(喜界町)を選出、賞金30万円が贈られた。
サトウキビは奄美農業の基幹作物だが、生産者の減少・高齢化が進んでいるほか、肥料代など資材費の高騰が経営を圧迫している。厳しい状況の中、若手で意欲的に取り組んでいる生産者を表彰、取り組み内容(単収向上などの優良事例)を群島内で共有し生産振興に役立てるため、賞金(最優秀賞1人のほか優秀賞1人にも10万円)も準備し初めて開催した。
森田会長は主催者あいさつで二つの目的があることを説明。若手農家の工夫(単収、面積拡大)を共有し自らの経営取り入れ、植え付け・管理・収穫の機械化促進などで「余暇時間を活用し楽しみ、農業のきついイメージ脱却など新しい農家像を作り上げてほしい」と述べた。発表時間は10分間で、行政機関などの審査員だけでなく満席となった観覧者(180人)も投票した。
各市町村を代表しエントリーしたのは発表順で、内野幸太郎さん(42)(与論町)、林真哉さん(42)(知名町)、前田隆博さん(30)(徳之島町)、大竹広之さん(33)(伊仙町)、永野大吉さん(28)(和泊町)、開さん、朝洋平さん(37)(奄美市笠利町)、麓福太郎さん(44)(天城町)。
このうち最優秀賞に輝いた開さんは、「わたしのさとうきびの作り方~開マニュアルの実践~」と題し発表。開マニュアルとして紹介したのが、▽適期管理(ドローンなど機械化によるスマート農業や株出の早期化)▽土づくり(深耕、緑肥、施肥の効率化など)▽地域との連携(高齢農家への株出サービスなど)―の実践で収穫面積、株出単収の増加に。今後の展開では単収向上(効率化、省力化の追求)、雇用の充実(地域や町の活性化)、規模拡大(高齢化の進む地域の農地の受け皿)を挙げ、目標として50㌶を掲げた。
優秀賞に輝いたのが大竹さん。自社開発のすき込み用施肥機、植え付け用のビレットプランターなどを紹介、収穫期の作業競合や雑草対策、資材高騰のコスト、燃料費・修繕費のコスト、安定した植え付け(発芽不良)といった課題の解消や改善につながっているとした。
発表では動画や図表の活用など分かりやすく伝える工夫も見られた。こうした発表内容は後日、動画閲覧サイトに投稿、奄美群島でのサトウキビ栽培の魅力を外部に発信する。