徳之島で自衛隊統合演習

花徳海岸では水陸両用車による着上陸訓練が行われた(19日、徳之島町花徳)

第1空挺団の隊員45人が降下訓練を行った(19日、天城町兼久)

離島奪還、島嶼防衛を想定
沿岸部着上陸、空挺降下も

【徳之島】陸海空の自衛隊が全国で展開する「自衛隊統合演習」(10~20日)が19日、徳之島町の花徳海岸、天城町の兼久地区で行われ、一部が報道公開された。3自衛隊総勢約1500人が参加し、自衛官トップの吉田圭秀(よしひで)統合幕僚長が視察。地元住民らが見守る中、3自衛隊による沿岸部での着上陸、パラシュート降下など訓練が行われた。

花徳海岸の訓練では、離島奪還、島嶼防衛を想定。沖合の海上自衛隊輸送艦「しもきた」「おおすみ」から陸上自衛隊水陸機動団(長崎)所属AAV(水陸両用車)5両が展開し、約20人の隊員が着上陸。陸自西部方面隊の第8師団など基幹部隊が、沿岸部に鉄条網など張り巡らし対抗する防御訓練も同時に行われた。

兼久地区での訓練は、離島への増援を想定し、陸自第1空挺団がパラシュート降下を実施。第8師団との連携を目標に、航空自衛隊入間基地の輸送機C2、C130が飛来。高度約330㍍から隊員45人が目標地点であるサトウキビ畑に降下した。

訓練の様子を見学した、地元に住む40代の女性は「離島で駐屯地がない徳之島での訓練は必要」と話し、70代の男性は「奄美でも中国(海軍の艦艇など)が接続水域を航行する事案が起きている。次世代の島民を守るためにも、訓練は大いにすべき」と語った。

初めて徳之島での訓練を視察した、吉田統合幕僚長は「実際の島の地形、気象、海象の下、陸海空の防衛力を集中的に運用して訓練する意義は大きい」など述べた。

自衛隊統合演習は1979年度からほぼ毎年実施され、今年度は、陸海空の自衛隊約3万人、米軍約1万人が参加。徳之島空港では13日、安保関連3文書に基づく、自衛隊戦闘機の離着陸訓練が全国の民間空港で初めて行われた。