瀬戸内町でおもてなし研修

「アクティビティで大切なサポートとは」をテーマに講演する野口さん

UT推進へ 鍵は情報提供
「〝行きたい〟活動増やして」

 障がいや年齢に関係なく、誰もが旅行を楽しめるユニバーサルツーリズム(UT)に理解を深める「おもてなし研修会」が20日、瀬戸内町のきゅら島交流館であった。NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター事務局長の野口あゆみさんが講演。高齢者や障がい者が行ける場所を探すだけでは「選択肢が狭い」という野口さんは、「魅力ある観光地を前面にアピールし、〝行きたいところに行ける〟活動を増やしてほしい」と呼び掛けた。

 奄美群島心のおもてなし推進事業の一環で県大島支庁が主催。観光・体験事業者らが耳を傾けた。

 同法人は三重県の伊勢・鳥羽・志摩を中心に旅のバリアフリー情報を提供する観光案内センターとして2002年に発足。個々に合わせた情報を提供する「パーソナルバリアフリー基準」を独自に設け、旅行相談窓口の運用や情報収集・発信のほか、車いすで伊勢神宮を参拝できる取り組みなどを進めてきた。

 日本の人口は現在、障がい者と高齢者を合わせて3割まで増えた。野口さんは「需要は確実に増えている。バリアは人によって異なる。どういう情報を提供するのかが鍵になって来る」と訴えた。

 情報発信については、道路の段差や施設の通路幅、スロープの角度など、「ありのままを伝えるだけ。(旅行に)行きたい思いがあればバリアを乗り越える方法をそれぞれが考えてくれる」と助言。野口さんは山登りなどを例に「アクティビティは過程も楽しみの一つ。一緒に楽しむ観光地の方が続いている。(体験など)誰が介助・サポートできるのかではなく、魅力は何か、何を大切にするのか考えないと本末転倒になる」とアドバイスした。

 この日は、ヨットやハンザの乗船のための「サポート実習」も実施。同センターの野口幸一副理事長が講師を務めた。